“極論で語る腎臓内科”の感想
書籍名
極論で語る腎臓内科
レビューした人
医師5年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★★
この参考書を読むタイミング
研修医1年目, 研修医2年目, 後期研修の働きたて, 後期研修中やそれ以降
読者の感想
初期研修医のときに購入、通読し、これまで「あれ、どうだったっけ?」となる度に読み返してきました。
本書の内容としては、①AKI、②脱水と浮腫、③輸液、④酸塩基平衡の基礎、⑤血ガスの読み方、⑥代謝性アルカローシス、⑦代謝性アシドーシス、⑧Na異常、⑨K異常、⑩CKD、⑪腎移植の11章から成り、見開きA4で全228ページです。見ての通り、電解質・酸塩基平衡・輸液が主で、透析などを含めた腎臓病診療を俯瞰する内容ではない点が循環器や神経内科など他の極論シリーズとは異なります。よって、初期研修医の先生が腎臓内科ローテート前に一通り通読しておこう、というような使い方は自分は向いていないと思います。それなら「レジデントのための腎臓教室(日本医事新報社)」や「レジデントのための血液透析患者マネジメント(医学書院)」の方をおススメします。
本書の役割としては、初期研修医のはじめの時期に読んだ簡単な輸液本の知識を、さらに腎生理を踏まえて強化・肉付することかと思います。輸液本の1冊目とするならば「電解質輸液塾(中外医学社)」の方を自分はおススメしています。腎生理をどこまで深く解説しているかはさらなる専門書を読んだことがない自分にはわからないのですが、わかりやすく解説していると思います。とくに④酸塩基平衡の基礎と⑤血ガスの読み方の解説が良かったです。これまで「低Na血症」とか「低K血症」、「代謝性アシドーシス」などを個別のものとしか考えられず、「なんで電解質と酸塩基平衡って一緒に扱われるのかな?」とか思っていましたが、本書を読んでからはそれぞれがつながったものと理解できました。
筆者自身、本書を教科書でなく読み物としており読みやすいです。ただ、いろんなサイトのレビューを見ると「通読に時間はかからない」、「簡単に通読できる」と書かれていますが(筆者のあとがきにも書かれている)、自分は結構時間を要しました。自分の理解力のせいもありますが、電解質や輸液、腎生理ってみんなそんなにさらっと理解していけるものなのか?さらっと1周読んでおしまい、とするにはもったいない本です。
レビューした人
次郎作
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★☆☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:読破することで腎臓内科の基本を一望できた
読者の感想
僕が各科をローテーションする前に読むことを推奨している「極論シリーズ」。
腎臓内科も素晴らしい内容です。
4時間くらいかけて読んだのですが、AKI、輸液、酸塩基平衡・電解質、血ガスの読み方、CKDなどなど腎臓内科の基本を一望できるようになっています。
実はうっかりローテ前に読むのを忘れてしまって、腎臓内科の初週は苦労したので、ローテ前の週末に読んでおくことをオススメします。
“腎生理がわかれば、水・電解質異常がわかる!”の感想
書籍名
腎生理がわかれば、水・電解質異常がわかる!
レビューした人
初期研修医2年目放射線診断科志望
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★☆☆
この参考書を読むタイミング
研修医1年目, 研修医2年目, 後期研修中やそれ以降
この参考書を一文で表すなら
可愛いイラストとは裏腹に、その内容は非常に高度!でも解説は丁寧で分かりやすい!
読者の感想
初期研修1年目の春、可愛いイラストにつられて購入。しかし読み始めてびっくり、可愛い顔した“きどにゃん”(表紙のネコ)が、関西弁でめちゃくちゃ難しい話をしだすのです!あまりのギャップについ笑ってしまったのを覚えています(笑)
しかし本書は、生物の進化における腎臓の役割に始まり、できるべくしてできたヒトの尿細管の仕組みを高度ながらもわかりやすく解説してくれます。また本書の半分以上は、実際の症例をベースに心不全や電解質異常などのCommon deseaseに対するマネジメントに割かれていて、実臨床にすぐに生かせる内容ばかりです。
本書は表紙のポップさとは裏腹に、腎臓内科専門医レベルの高度な内容を1冊で非常にわかりやすく解説してある良書だと感じました。
腎生理や水・電解質のマネジメントに興味がある方には是非読んでもらいたい一冊です。
“考える腎臓病学”の感想
書籍名
考える腎臓病学
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:理論的に腎臓の機能を読み解ける
読者の感想
「腎臓っておもしろい!」と思えた名著です。
理論的に腎臓の働きを読み解きたい人にはとてもオススメです。
僕が循環器内科をローテしている際に「ループ利尿薬自体がRAS系を強く刺激するために慢性心不全患者の予後を改善しえないことがある」ということを知り、疑問だったのですが、この本にその理由が書いてありました。
以下引用
”レニン分泌刺激の重要な要素として、尿細管糸球体フィードバックがある。これは緻密斑に到達したクロールを感知して糸球体に伝えるものであった。緻密斑の細胞はクロールを再吸収し、その量を糸球体に伝えているのであるが、その再吸収のメカニズムがHenleの太い上行脚と同じNa-K-2Cl共輸送体によるものである。したがって、ループ利尿薬を投与すると、緻密斑細胞でクロールの再吸収は停止し、管腔内のクロールがゼロになったのと同じ状況になる。そのためにレニン分泌は強力に刺激される”
どうでしょうか?
こういった感じの病態生理から理解したい人にはオススメです。
“ER・ICU診療を深める2 リアル血液浄化”の感想
書籍名
ER・ICU診療を深める2 リアル血液浄化
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★☆☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:重症患者管理の際に役立つ
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目に読みました。今は第2版(Ver.2)が発売されているようです。集中治療におけるCRRT(持続的腎代替療法)についてわかりやすく解説した本になります。ICU患者を診ていると時折治療の選択肢に挙がってきますし、その際に何をやってるのかさっぱりわからない、というのは嫌だったので購入しました。
HDとの違いや、CHD・CHF・CHDFの原理・効率がとても分かりやすく解説されており、逐一シミュレーションが載っているのがすばらしく理解しやすいです。吸着療法についても言及されており満足のいく内容です。本書で勉強した後はMEさんとも語り合って色々教えてもらえました。
ただ、今は全くやってないので内容はほとんど覚えていないです。将来腎臓内科や循環器内科を目指す方には特にオススメです。
“レジデントのための血液透析患者マネジメント”の感想
書籍名
レジデントのための血液透析患者マネジメント
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:血液透析患者を受け持った時
読者の感想
(2020年2月 記)
初期研修医の終盤に読みました。自分は腎臓内科・透析のない病院で研修したため、これはまずいと思い独学目的で購入しました。まえがきにも「自分で血液透析ができなくとも、血液透析患者を診る力、マネジメントする力は必要」とあり、自分のニーズともぴったりでした。
①マネジメントに必要な血液透析の基礎知識
②保存期→透析導入患者のマネジメント
③維持透析患者のマネジメント
④急速に腎機能が悪化する患者のマネジメント
⑤アフェレーシス
と5つの章立てになっており、⑤は読んでませんが、非専門医でも知っておいたほうがいい基本的なことがギュッと詰まってます。
実際の透析は専門科にお任せ、と割り切って本書で勉強するのが効率的かもしれません。保存期のマネジメントとAKIについてや、実際の処方例が記載されているのが個人的には非常に良かったです。
レビューした人
当時初期研修医2年目(サイト運営の次郎作)
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:透析患者の診療の際に必要なことが十分に記載されている
読者の感想
この参考書は、ついた上級医の先生から教えていただいたもので、透析患者の診療の上で必要なことが詰め込まれていました。
・透析患者の貧血は正常値以下のHb10~12程度でコントロールすると予後がいい。
・血清Ca, P, intact PTHを正常範囲でコントロールできると予後がいい。 それらの調整にはこんな薬剤がある。
といった具合に盛りだくさんな内容でした。
透析患者は腎臓内科以外の診療科でも診ることがあるので、そのような時にこの参考書の内容を知っているとかなり役立つと思います。