特集記事

【エルゼビア×医学書レビュー.com】書評で書籍紹介キャンペーン!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

みなさんこんにちわ、サイト運営の川良です。

医学書レビュー.comのサイトを運営するうちに、自然と医学出版社様とお話させていただく機会が増え、今回はなんと「今日の臨床サポート」などで我々医師が大変お世話になっている、

エルゼビア・ジャパン様とのコラボが実現致しました!

今回はエルゼビア・ジャパン様から今年7月に発売された、

といった電子書籍パックから、以下の2冊について、改めて総合臨床科の先生に執筆を御依頼させていただきました!
(※書籍名をクリックすると該当書籍の書評にジャンプできます。)

1. スワンソン総合診療問題集

2. レイケル総合診療テキスト 抜粋版

もちろん執筆者の先生方には、中立的な立場から書評を書いていただいています!

また、エルゼビア・ジャパン様からは他にも様々な書籍が出版されていますので、これをご参考に自分に合った医学書を探して勉強してみてくださいね!

それでは上の2冊の書評を見ていきましょう!

1. スワンソン総合診療問題集

エルゼビア×医学書レビュー.comコラボ企画の1冊目は『スワンソン総合診療問題集』です!

・内科的疾患はもちろん,公衆衛生から小児,女性/男性の医療,マイナー科まで多岐にわたる分野をカバー!

・問題集形式なので、スキマ時間で学習を行うことができる!

とのことです!
それでは書評をご覧ください!

レビュワープロフィール

医師5年目
東京北医療センター 総合診療科
川幡翔太郎 先生

どんな本?

米国家庭医療専門医の試験対策問題集の” Swanson’s Family Medicine Review”を翻訳した本です.
診療所の外来で遭遇しうる状況や疾患を念頭においた問題が各項目・各疾患10-20問程度とその解説で構成されています.

領域は現行の家庭医療専門医認定の筆記試験(https://www.primary-care.or.jp/nintei_fp/pdf2021/hikkigaiyou2021.pdf)と同様で,内科的疾患はもちろん,公衆衛生から小児,女性/男性の医療,マイナー科まで多岐にわたる分野がカバーされています.

他の書籍と比べて、ここが違う!

現状,問題形式で網羅的に学べる書籍は多くなく,おそらく比較対象になる書籍はMKSAPになるかと思うのでそれを意識して,この書籍の特色を列挙したいと思います.

1つ目は,MKSAPに含まれない法律・医療制度面,家庭医療理論,産科/婦人科/小児/マイナー領域などが取り上げられているところです.飲酒運転となるアルコールの血中濃度や,小児のワクチン接種計画の修正などは,このレベルで理解していることが求められるのかと戦慄を覚えました.

2つ目は,USPSTFに基づいた予防介入や相対的リスク評価が重視されている点です.疾患に適応がある複数の治療薬のなかから,第一選択薬を選ばせるだけではなく,慢性疾患における様々なリスクに対する介入の優先順位を問う問題が多数ありました.

私自身,地域の診療所で短時間の外来診療で複数の介入を行うことは,時間的にも技術的にも困難だった経験があり,効果的なアプローチできる介入点を見つけ出すことにフォーカスした問題は実践的だと思いました.

3つ目は原著のSwanson’s Family Medicine Reviewが,実際に多くの総合診療系のプログラムで勉強会にもちいられている点です.家庭医療領域でも様々な良い本が出版されていますがやはり歴史・知名度という点においては,明らかに軍配が上がります.

おすすめの読者層

新専門医の試験問題がまだ分からないので,専門医試験対策としてこの問題集がどれくらい有用かは分からないですが,家庭医脂肪の先行いや,外来診療を行う意思の学習教材としては非常に優れていると感じました.
広い領域が網羅されているので,自分の弱点や得意な分野を把握するのにも用いることができ,学習の起点になりうると思います.

完全にホスピタリスト志向の専攻医や内科疾患の管理だけを固めたい人にはMKSAPの方が良いかもしれないと思いますが,診療のフィールドが病棟の中に収まらない人にはおすすめします.

良い点

家庭医療の自習教材としては総じて良いスワンソン総合診療問題集ですが,個人的に特に良いと思ったところを3つ挙げます.

1つ目は,セクションが細かく区切られていて,問題を解くのに10分,丁寧に解説を読んで20分程度のスキマ時間で学習を行うことができる点です.私は孤独に解きましたが,数人で集まって勉強会を開くとより楽しく,知識も定着するのではないかと思います.

2つ目は日本語訳された本であることです.“それ位の英語わかってないとお話にならないよ”というご意見もわかります.ただ“自分が英語をマスターするより機械翻訳が完璧になる方が早い”と思って英語学習から逃げてきた私にとっては,言語の壁は巨大すぎました.特にマイナー領域や薬剤の固有名詞が全く分からず,仮に原著で学習しようとするとひたすらグーグル翻訳することになると思うので非常に助かります.

3つ目は,単に原著を翻訳しただけの本ではないことです.総合診療において,社会保険制度に関わる法律や疫学は重要ですが,アメリカの法律や疫学データだけ提示されても正直なところ私たちには有益性が乏しいです.この本ではしっかり日本の法律や疫学データに関する言及があります.解説文から翻訳者の先生方の“活きた知識を伝えたい“という情熱が伝わってきました.

悪い点/改善できる点

家庭医療の問題集を日本語で解けるというのは,非常にありがたかったですが,いくつか弱点を見つけたので挙げさせていただきます,

1つ目は,日本での標準的な判断と大きく異なる解答に関する補足がない問題があることです.具体例を挙げると“鶏卵アレルギーがある人にインフルエンザワクチンが禁忌”とする問題があるのですが,これは明らかに日本における判断とは異なっています.アメリカとリスクに対する判断が異なることはあるとおもいますが,そこに対する言及があった方が親切に思えました.法律などの問題に関しては前述の通り日本準拠のコメントがあるだけに残念でした.

2つ目は誤植・誤訳と思われる文章が散見することがあります.大量の文章を概ね自然に翻訳してくださっているので,贅沢は言えないですが,直訳と思われる意味の通らない表現が散見しました.とはいえ,これに関してはオンラインテキストの利点を活かして今後少しずつ修正されていくことを期待しています.

最期に,これは悪いところというよりも希望なのですが,学習の進捗度を管理できると助かると思いました.やはり,スキマ時間に勉強したいとき素早く前回の続きから再開できればストレスフリーになるだろうなと思います.

まとめ

以上が簡単ではありますが,スワンソン総合診療問題集の感想になります.医師国家試験以降,久しぶりに問題集を解いての学習をしましたが,教科書を読み流すのではなく自分の知識を確認しながら行うため時間はかかるものの,着実に自分の中に知識が蓄積する手ごたえがありました.
総合診療,特に新家庭医療専門医を志望するレジデントの皆さんにおすすめの1冊だと思います.

2. レイケル総合診療テキスト 抜粋版

エルゼビア×医学書レビュー.com書評企画の2冊目は『レイケル総合診療テキスト 抜粋版』です!

・抜粋版であり、通読しても数時間で読み終わる!

・医学科の学生や総合診療の専攻医がとりあえず総合診療に関する概念に触れるきっかけとしてはおすすめ!

とのことです!
それでは書評をご覧ください!

レビュワープロフィール

医師5年目
総合診療科 医師

どんな本?

David Rakel氏の“Textbook of Family Medicine”を翻訳した本.原著はAmerican Board of Family Medicine (ABFM)の実施する認定試験,認定更新試験に対応しており,アメリカの総合診療医に標準的に求められる内容がまとめられています.

原著の書籍の抜粋版である本書は総合診療における概念を簡潔に一通り取り上げており,初学者が大枠をつかむ際には選択肢になる書籍かもしれません.

他の書籍と比べて、ここが違う!

抜粋版であり,各項目が端的にまとまっており,丁寧に読んでも5-10分程度で1項目が読み終わります.通読しても数時間で読み終わるので,短時間で大まかな外枠をつかむことができます.

家庭医療理論にとどまらず,非言語コミュニケーションに関する考察など読み物として面白い項目が含まれています.

おすすめの読者層

医学科の学生や総合診療の専攻医がとりあえず総合診療に関する概念に触れるきっかけとしてはおすすめです.あくまで概念の説明にとどまるため,家庭医療専門医を目指す専攻医には少し物足りないかもしれません.

スワンソン総合診療問題集と一部パラレルな関係にある項目があり,2冊を併用するとより学びが深まるためスワンソン総合診療問題集を使って学習している方にはおすすめできると思います.

良い点

レイケル総合診療を読んでいて特に良いなと思ったところを3点ほど挙げさせていただきます.

1つ目は,図や表を含めて日本語翻訳されている点です.概念を端的に理解するために,図の果たしている役割は大きく,図が日本語でシンプルに示されていることで直観的に学習ができます.

2つ目は,端的にまとまっている一方で,しっかりと参考文献が記載されているので,深堀したい場合はそちらを読むことでより深く学べる点です.

3つ目は,セクションが細かく区切られているところです.スキマ時間で読むことが可能で,複数人で輪読する勉強会などを開いても理解が深まるかもしれません.

悪い点/改善できる点

1つ目は,序盤の方の項目の敷居が高いことです.総合診療が社会制度や時代と切り離せないものなので,しょうがないところがありますが,1章や2章は総合診療の歴史やアメリカの制度の内容が中心なのでふるい落とされてしまう人がいるかもしれないと感じました.

2つ目は,より詳しく調べたいときに参考文献を調べるのが難しいことです.電子書籍の都合上,テキストをコピーできず手打ちで情報を入れないといけないのでやや面倒に感じました.技術的に可能かはわかりませんがPubmedのリンクを張ってほしいなと感じました.

いかがでしたでしょうか!?

今回のキャンペーンで紹介する書籍は以上となりますが、今回紹介した以外にもエルゼビア様の医学書では、

当サイト経由での売上1位に輝いた、

や、都内某大学の総合診療科教授もおすすめの、

など10冊以上のレビューがあるので、そちらもぜひ参考にしてみてください!

それでは最後に、初期研修医の先生方のご活躍をお祈りするとともに、ぜひ書籍を読まれた際には、他の研修医仲間、後輩医学生に向けてレビューを書いてくださる日をお待ちしております!!

エルゼビア・ジャパン様におかれましても、この度はこのような企画ご一緒させていただき、誠にありがとうございました!!

(なお、今回ご紹介した書籍はパックのみでの販売となっておりますので、ご購入の際はご注意下さい。)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

コメントを残す

*