こんにちは!医学部5年のruiです!
普段、大学で講義を受けたり、実習をしたりしている医学生にとっては身近なようでよくわからない「医局」
卒業後、研修医を終えた後、医局には所属する?しない?
そんな悩みを現役の医師にアンケートを行いました!
今回の記事では、その中から進路選択に役立つような回答を紹介します!
※一部記事への記載にあたってアンケートでいただいた回答の表現を変えている部分があります
質問:医局に属している、または入局する予定がありますか?

普段は大学病院で実習をしていて、医局に所属している先生方とばかり関わっているので、アンケート結果では自分の印象よりも医局に所属していない先生が多かったです!
まずは医局に所属している先生方に聞きました!
質問:医局に入るという決断をしたのはいつですか?

70%以上の方が初期研修を始めてから決断したとのことで、まだ医局に入るなどの実感がつかめていない医学生としては安心できる結果でした。
初期研修2年目で決めた方が一番多く、やはり後期研修を始めるタイミングで医局が大きな意味を持ってくるんですね!
質問:医局に入った理由を教えてください
初期研修先が出身大学の医局関連病院だったこと、また医局に入らずに専門医を取れる可能性がほとんどなかったため
自分のやりたい分野が強く、関連病院が多かったから
後期研修に向けた病院見学の際、見学先の先生から「子供がいても働きやすい職場を医局が斡旋できるので医局に入ったほうがいい」とアドバイスされたから
その他
- 消去法で入った
- 尊敬できる先生がいた
- 都内のシーリング対策のため
などの理由がありました。
1番多かった意見は「専門医を取得するため」でした。
確かに先日、ニュースサイトでも「専門医取得のために医局に所属すると有利という意見が多い」という記事を見かけました!
質問:医局に実際入ってみて分かった、医局の良いところを教えてください
様々な症例の経験を共有できるため、学術的な経験を積める
大学医局という後ろ盾があることで、とても大事にされるし、実際にいい病院にいいお給料で行ける
職場の変更などは医局が都合してくれるため、自身での転職活動が必要ない
その他
- 医局員同士のつながりができる
- 大学院で基礎研究ができる、優秀な人が集まっていて研究効率がいい
- 1-2年ごとで若手は移動するから、嫌な先生や病院でも1-2年我慢すれば終わる
- 教育にある程度責任を持ってもらえる
といった意見がありました。
多かった意見としては「症例が集まることで勉強になる」ということでした。
若いうちは特に症例からたくさんの事を勉強する必要があると思うので、その点では医局に所属すると有利そうですね!
質問:医局に実際入ってみて分かった、医局の悪いところを教えてください
ずっといること、大学でキャリアを積むことが前提なので辞めどきが難しい
人間関係で気を使うことががある、雑務も多い
入局時の約束が反故にされることもあり、プライベートの人生設計が立てにくい
その他
- 封建的で主張ができない、自分の希望が通らないこともある
- 大学病院の給与は低い、医局費を払わなければいけないといった経済的なこと
- バイトを自分で決められない
- 一定年月、地方の病院に勤務する場合があり、独身と比べて家庭持ちが人事で優先されやすい
といった意見がありました。
医局に所属した場合、組織として動くことが多くそれに伴った問題が発生してくるようですね。
質問:医局をやめたいと思うときはありますか?

やめたいと思うことはないと答えた先生は20%と少数でした。
そこで、やめたいと思っているが医局に所属している理由を先生方に聞いてみたところ、もっとも多かった意見は「専門医を取得するため」でした。
その他にも
- 妊娠・出産を考えており、医局にいた方が産休や育休が取りやすいから
- もう少し研究をしたいから
といった意見がありました。
現役の医師の皆様も医局に所属し続けるか、否かを迷いながら日々の業務を行っていると考えると苦労を感じました…!
【番外編】医局に一度所属したものの、退局した先生に医局をやめたときのことについて質問しました!
質問:医局をやめたときに何か問題はありましたか?
留学してそのまま退局したので大学に給与返還しました。また留学を後押ししてくれた上司には申し訳なかったが今でも交流はしています。
質問:勤務時間、給与の変化はありましたか?
勤務時間は減り、給与は増えました。
次に医局に所属していない先生方に聞いてみました!
質問2:医局に入らない、という決断をしたのはいつですか?

半数以上が初期研修2年目で医局に所属しないと決断したとの結果でした。
医学生からの一般的な印象と同じように、医局に所属するかどうかはやっぱりギリギリまで迷い続けるのかもしれないですね…
質問:医局に入らなかった理由を教えてください
入局せずとも専門医や指導医まで取得できるから
公衆衛生大学院への進学など、自分でやりたいことがあったから
入局したら働く病院を自分で選択できないと思ったから
その他にも
- 医局人事に人生を左右されたくなかったから
- 卒後すぐ産業医として入職したから
- やりたい分野が医局ではできなかったから
といった意見がありました。
医局に所属しない理由は自由が奪われるからということが多かったです!
また、進学や留学、産業医といった大学外に出ていくからという理由も大きいようです。
質問:医局に入らないという選択をしてみて分かった、医局に入らないことの良いところを教えてください
医局における雑務を振られることがなく、臨床に専念できる
自分のキャリアパスに口出しをされず、住む場所や地区の制限をされない
給与面で遥かに条件がいい
その他には
- 医局とはいえ自分の定年まで面倒を見てくれるとは限らない
- 臨床渡米の準備がフレキシブルにできた
といった意見がありました。
医局に縛られないメリットとしてはやはり異動に関して自分である程度コントロールできることが大きいようでした。
また、雑務を振られることがないということで、医局における雑務はどのようなものがあるのかもっと詳しく知りたいと思ったのでまたの機会で調べ、皆さまに共有できればと考えています!
質問:医局に入らないという選択をしてみて分かった、医局に入らないことの悪いところを教えてください
職場を斡旋されないので常に就職活動が必要
指導医に恵まれないと自分から成長を求めなくてはならない
基礎研究ができない
しかし個人的には興味がなかったのであまり問題はなかった
といった意見がありました。医局に一度所属したものの、退局した先生に医局をやめたときのことについて質問しました!
ここからは医局に入っている先生と、入っていない先生での働き方の違いなどを比べてみました!
質問:専門医を取得している、または取得する予定はありますか?


医局に入っている先生方では、所属の理由が専門医取得という方も多かったように、ほとんどの先生が専門医を取得していました。
医局に入っていない先生方については、少し割合は下がったものの8割近くの先生が専門医を取得しており、医局に所属する理由の多くが専門医という話からは意外な結果となりました。
診療科での違いや、過去には医局に所属していたからなどの様々な理由が考えられそうですね。
専門医については医学生からすると医局についてと同じように未知な部分がかなり多いので次の機会に診療科や働き方、取得までの期間などを調べて皆さまに発信していきたいです!
質問:博士課程に進学し、医学博士を取る予定はありますか?


医局に入っている先生方に関して、博士課程に進学するかについてはほぼ半々の結果でした。
大学院に入学するため医局に所属したという意見もあったので、思ったよりも博士課程に進学する方は少ないように感じました。
医局に入っていない先生方ではさらに医学博士の取得率は下がりそうですね。
博士課程への進学、医学博士取得後での働き方の変化や、医局に所属していない場合はどういった大学での博士課程に進むのかなども気になりますね!
質問:症例報告を論文化したことはありますか?


症例報告の論文化に関しては、医局に所属することで症例が集まりやすいということも影響してか、医局に所属している先生方の多くが経験ありとのことでした。
加えて、論文の個数についても質問したところ
医局に所属している先生では
- 1報:4人
- 3報:4人
- 10報以上:2人
医局に所属していない先生では
- 1報:3人
- 2報:1人
- 10本程度:1人
との結果でした。
やはり医局に所属するとよりたくさんの症例を経験でき、より多くの症例報告の論文化が行えるようです。
質問:原著論文を書いたことはありますか?


原著論文の経験については症例報告のものよりも少ないという結果でした。
また、原著論文を書いたことがあると答えた先生方のほとんどが博士課程に進学する予定があると答えた方でした。
また、こちらについても具体的な数を聞いたところ、
医局に所属している先生では
- 1報:3人
- 2報:1人
- 3報:3人
- 5報以上:2人
医局に所属していない先生では
- 1報:3人
- 2報:1人
との結果でした。
経験している割合に関しては医局所属の有無での差はそれほど大きくないようにも感じましたが、本数まで見ると医局に所属している先生方のほうが原著論文の経験が豊富なようですね。
質問:働いている時間について、最も近いものを選んでください


医局に所属していない先生方はなんと半数が週4回以下であり、さらにほぼ9割の先生方が週5回以内の勤務に収まっているとの結果でした。
医局に所属している先生方の8割弱が週6回勤務以上していると答えていることを考えると驚きです。
ただ、日数だけでは忙しさの比較はできないため、それぞれの先生方の1日の中のタイムスケジュールなどの具体的な働き方も気になりますね!
最後に、医局に所属している先生、していない先生から医学生に向けて、こういう人は医局に入るべき、こういう人は医局に入らないべき、といったオススメを聞きました!
医局に入った方がいい意見には
研究や発表などの学術的な経験を重ねたい人、専門医を早めに取得したい人は入った方がいい
マイナー科だと医局に入らざるを得ない可能性が高い
大学なり、病院なりでキャリアを得たい人はもちろん、逆に能力が低い人は大学で守ってもらえるというメリットがある
医局に入るべきか迷っている、決められない人は逆説的だが入るべきだと思います。主体性が無かったり、自分の道を切り開く自信がない、などの人にとってレールを敷いてくれる医局というのはありがたい存在です。
医局は職業ギルドの側面が強いので、基幹病院で相応の臨床ポジションにつきたいのであれば医局に入るべきです。
外科や基礎研究をやりたい人は医局に入ってもいいと思う。
また、特に将来を自分で決めていない人も医局に属すのは悪くないかもしれない。
といった理由がありました。
その他にも
- 留学するときの経歴をしっかりと得ることができる
- やりたい分野が決まっている人
- 勤務医で働きたい人
- 挙児希望があって、親が雇用してくれる病院・クリニックがない女医は入った方がいい
- 迷うならば入った方がいい
といったことがありました。
医局に入らないでもいいと思う意見には
臨床や研究以外に明確にやりたいことがある人は医局に入らなくてもいいかもしれない
フリーランスで働きたい人には向いていない
臨床研究に興味がないと医局に入る意義は少ないと思われる。臨床能力を磨きたいなら熱心な市中病院のほうが有利である。
自分で働く病院を決めたい人、人事に縛られたくない人は入らないほうがいいです。
教授のタイプや医局の雰囲気にもよるが、帰属意識が希薄なタイプは向いていないかも。ただし入局しなくとも高次医療機関である程度の年数は働くべきと思う。
また、「美容志望の人は入らなくていいと思います。」などがありました。
その他
- 早く稼ぎ切りたい人は入らないべき
- 医局費を取られるので入らない方がいい
- 医局に入らずに過ごす場合にはある程度自分自身の進路のマネージメントが必要になる
といったことがありました。
これまでの質問でも答えられていたように医局に所属することは症例が集まることでの学術的な経験面や、専門医取得に向けた利点があるようでした。
医局に入らなくてもいい派の意見には入らない方が自由に働くことができ、自分のやり方で稼ぐことができるといった内容が多かったです。
また、「迷うなら入ったほうがいい、そして後からやめればいい」という意見はまさに迷っている人にはうれしい言葉ですね!
ただ、医局に入っている方々の意見の中に「やめどきが難しい」といったことも挙がっていたので医局をやめることについてしっかりと準備をしておく必要があるのかもしれません。
さらに、「レールを敷いてくれる存在としての医局」という考えは医局に所属するか否かだけでなく、どこで、どのように働いていくかも悩むことが多い医学生には非常に参考になります!
この理由で医局に所属する場合には、その医局の特徴を先輩の先生などからきちんと聞いておくなど下調べをすることが大事になりそうですね。
以上、現役の先生方に聞いた医局には入る?入らない?に関するアンケートの結果でした。
ぜひ将来の進路の参考にしてください!