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研修医になった直後に読みたいおすすめの6冊の参考書

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※この記事は、2018年に書かれた「次郎作ブログ」の記事をもとに書かれています。

まずは先日、国家試験を終え合格発表を迎えた医学生の方々、大変お疲れさまでした。
みなさん、人生で最後かもしれない1カ月半の長期休暇を旅行などで楽しんでいることだと思います。

さて、今回この記事は、4月から研修医になる医学生に向けて、働き出す前に読んでおくべき参考書を

・臨床経験がなくても読みやすい
・4月からスタートダッシュが切れる
・即効性がある

という視点で選び、それぞれの「読みやすさ」「即効性」を5点満点で評価しています。
130冊の参考書を購入し55冊を通読した「次郎作」が選んだ、研修生活に役立つ6冊となっているので、是非手に取ってみてください。

第1位

書籍名

“輸液を学ぶ人のために”

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読みやすさ

★★★★★

 

即効性

★★★★★

 

感想

この参考書は、

・病棟実習にはほとんど顔を出さない
・国家試験は合格する最低限しか勉強をしなかった

ような人で、「輸液のことなんてチンプンカンプン」な人でも
輸液の感覚をつかむことができる名著です。

病棟で輸液を扱う時に、本質的で重要なことが会話形式で書かれており

・人は1日どれくらい水分が必要?
・塩(NaCl)は1日どれくらい必要?
・Kは1日どれくらい必要?

など、研修医が知っておくべき内容であると同時に、ズバッと答えられるとかっこいい内容でもあります。

数時間で気軽に読めるのにも関わらず、それ以降の輸液のイメージを確立してくれるところもこの参考書の優れたところです。

この参考書では学べないようなもっと詳しい話は、臨床の場に出てからたくさん勉強すれば良いと思います。

どんな分野でも共通しているのかもしれませんが、新しいことを勉強し始める時に大事なのは最初に大枠のイメージをつかむということでしょう。

第2位

書籍名

“3秒で心電図を読む本”

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読みやすさ

★★★★★

 

即効性

★★★★★

 

感想

この参考書も、数時間ですぐに読めて即効性のある1冊と言えるでしょう。

「救急外来に胸痛の患者さんが来て、心電図をとる」
これはおそらく当たり前の行動で、これが出来ない研修医はいないでしょう。

しかし、
「とった心電図が正常かどうか判断する」
これが出来ない研修医はいくらでもいます。

この参考書では、
・正常なものを自信を持って正常と言う
・循環器内科へコンサルトするべき異常を見逃さない
ことが目標にされており、その目標に向けて心電図を読む際の目の動きや頭の使い方について説明されています。

気軽に読めるにもかかわらず、ここで「読める」感覚を少しでも身に付けておけば、今後の心電図との付き合い方が変わり得る、すごい参考書です。

第3位

書籍名

レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室”

 

読みやすさ

★★★★☆

 

即効性

★★★★☆

 

感想

研修医になった直後、「なにを勉強しておくべき」という話で良く上がるのは抗菌薬や輸液ではないでしょうか。

もちろんこれらも非常に大切ですが、「胸部X線」「心電図」など研修医として働く時に決して避けて通ることの出来ない項目についても勉強しておくべきであると思います。

医学の勉強において難儀なのは、「学生時代の座学の知識と、臨床現場で役立つ知識は毛並みが違う時がある」ということですが、こうした参考書を通して、臨床に即した形で勉強しなおすことが大切であると思います。

第4位

書籍名

“絶対わかる抗菌薬はじめの一歩”

 

読みやすさ

★★★☆☆

 

即効性

★★★★☆

 

読者の感想

研修医の学習というと「まずは抗菌薬」というイメージがあるので、医学生のみなさんは、勉強したくてうずうずしているかもしれませんが、これは研修医になって働き始めてから勉強してもよいかもしれません。

実際には座学で行うよりも、

・現場で抗菌薬がどのように使われているか
・自分の受け持ち患者さんになにを選ぶか

など、on-the-jobで学ぶ方が明らかに効率が良いと思うからです。

この参考書は通読すにはやや単調かもしれませんが、そのかわりにかなり系統だって記載されているので、まずはベースの知識を身に付けるという使い方をしてもらうのが良いと思います。

ついでなので、ここに書かせてもらいますが、

「参考書はそれぞれ読むべきタイミングが違う」

ということをはっきり覚えておいてもらいたいです。

有名だからといって参考書を買って読んでみても、タイミングが間違っていれば、得られるものも得られず時間を無駄にしてしまうだけです。

抗菌薬の参考書では分かりやすい例があったので挙げますが、間違っても有名だからといって

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この参考書を、研修医になる直前やなりたての時に読まないようにしてください。

この参考書は、少なくとも抗菌薬のスペクトラムや現場での使用法が分かってきてからでないと得るものはほぼありません。

この参考書は感染症専門医がどのように抗菌薬を使用しているかについて、細かい知識を得るためのものだからです。

もしも、研修医1年目なりたてのあなたにこれを勧める先輩がいたら

・この参考書を読んでない
・おすすめを聞かれたのでとりあえず有名な参考書を挙げた
・抗菌薬学び始めの「チンプンカンプンさ」を忘れてしまった

のどれかなので気を付けてください。

第5位

書籍名

“あなたも名医!もう困らない救急・当直”

 

読みやすさ

★★★★☆

 

即効性

★★★☆☆

 

読者の感想

研修医として働き始め、なかなか病棟で力を発揮できない中、一番戦力となり得るのは「当直」の業務です。


そもそも内科当直や救急車対応では、目の前の患者さんに対して、まず鑑別疾患が挙がらないことには、問診も検査も何も進みません。

にも関わらず、多くの病院においてまず研修医が当直のファーストタッチを行うことから、やはり勉強して「当直力」を身に付けておくべきと言えるでしょう。

ただし、「抗菌薬」の項でも述べたように、座学にみで勉強するというよりは、ある程度の臨床経験がないと勉強がはかどらないということも言えますので、もしも時間とやる気がある人がいたら読んでみてください。

第6位

書籍名

“内科レジデントの鉄則”

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読みやすさ

★★★☆☆

 

読み返し度

★★☆☆☆

 

感想

正直に言うと、この参考書は病棟経験や患者さんを受け持った経験がない状態で読むにはかなりレベルが高いです。

しかし、それを押してもこの参考書がおすすめ出来る理由は

「書いてあることを信じ切って隅から隅まで理解して覚えれば、絶対に力が付くと断言できる」

からです。

内容が慣れなくて難しいと感じるかもしれませんが、使い方としては、春休みにまずは1回通読して、働きながら読み込んでいけば良いと思います。

働いている最中に、「そういえばあれに書いてあったな」と思い出してその都度復習できる下地があるだけでも、かなり効率的な学習につながると思います。

時間もやる気も溢れていて、とっくに5冊通読したという学生さんは6冊目としてこの参考書を読んでみてください。

以上、研修医になる前に読んでおくべき6冊の参考書でした。

旅行をしたり、勉強をしたり、過ごし方は様々だと思いますので、人生で今後中々は訪れない長期休暇を是非充実したものにしてください。

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