書籍名
神経内科 Clinical Question & Pearls 脳血管障害
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編/標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:脳卒中診療の勉強
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目、脳卒中内科をローテート中に読みました。神経内科医が脳卒中をどのように診断、治療を行なっているかを学ぶ事が出来ます。専門性が高い内容ですが、脳卒中ガイドラインを読むよりは読みやすく勉強しやすいためレベルは標準としました。
脳卒中、特に脳梗塞(手術適応でないもの)は内科が診ることも多く、その診断・治療についての記載が主となります。脳卒中診療はスピードが求められ、その他神経内科疾患とは対応が異なります。特に超急性期のrt-PAや血栓回収療法の対応となると、その適応判断を速やかに行わなければなりません。本書ではそういった患者にどんな診察をして、頭部MRIではどの撮像法を選択し、どのように適応を判断するかを学べます。
また、適応外であっても急性期治療はどうすべきなのか、それを判断するための病型診断、発症機序の想定が重要です。「結局抗血小板薬と抗凝固薬しかないのに何をあれこれ検査してるの?」と思われるかもしれませんが、神経内科医はこの病型診断に命をかけてます。予防法を間違えると入院中にでも再発し、機能転機は悪化するからです。
脳梗塞の原因は何なのか、それをどんな検査で診断するのかを学ぶ事が出来ます。Q & A形式なので読みやすいですし、実際に担当した患者さんで気になったところを摘んで読むのにもいいと思います。
脳卒中の症候、具体的な診察方法、解剖生理については記載がありません。また、脳外科手術手技などもありません。あくまで内科の立場で脳卒中診療を解説した本になります。本書は2016年発刊で、rt-PAや血栓回収療法の最新の適応には対応してません(基本的な考え方はちゃんと学べます)ので、そこはガイドラインでアップデートする必要があります。