みなさんこんにちわ、サイト運営の川良です。
今日は、初期から継続的にレビューをくださっている、頼れる「脳卒中内科医」先生のおすすめ参考書をまとめ記事にしました!
経緯としては、読者の皆様からいただいた声の中に
「信頼できる先生のおすすめを一覧で見れると良いな」
「しかもそのレビューを他の人のものと比較出来たら良いな」
というものがあり、今後徐々にそういう先生方のレビューを増やしていければと思っています!
さて、では「脳卒中内科医先生」がどのような先生か、
ずばり手短に表すならば
“良き指導医との出会いから覚醒し、一気にハイパー化”
“その後、購入した参考書は初期研修2年間で100冊を超え、当サイトにもこれまで50冊ほどのレビューを寄稿”
はい、超強者先生です
そして、もちろんこんな短い文章では、先生のことを紹介しきれないので、詳細は別記事にて
脳卒中内科医先生から全国の研修医たちに向けた熱い仕事観と熱いメッセージをご覧ください!
“脳卒中内科医先生”の自己紹介と全国の研修医へ向けた熱いメッセージ
それでは、脳卒中内科医先生からのメッセージも読んでいただいたところで、
本記事ではおすすめ参考書を、下記の目次ごとに10段階評価の良い順にランキング形式で紹介します!
脳卒中の先生だけあり、さすが神経内科系の参考書が充実しています!
①鑑別診断・当直系7冊
②抗菌薬・感染症系2冊
③胸部X線・CT画像診断系3冊
④研修医生活でお役立ち系6冊
⑤神経内科・脳卒中14冊
⑥循環器内科(心電図)7冊
⑦救急・ICU2冊
⑧糖尿病内科2冊
⑨呼吸器内科1冊
⑩腎臓内科1冊
では、まいります!!
①鑑別診断・当直系7冊
第1位タイ!
書籍名
救急外来ただいま診断中
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:救急分野の勉強で役立ちます。
読者の感想
(2020年2月 記)
内科救急を診る全ての研修医にオススメです。自分は研修医の初期に購入し、一年目の終わり頃に読みました。一年目の始めの方に読んだ時はまだ自分には早いかなという印象は持ちました(自分の不勉強のせいですが、、)。ただ、少し勉強が進んだころに読み直してみたら圧巻でした!
今まで勉強してきた事が整理され、見落としポイントや鑑別疾患が新たにアップデートされていきました。よく出会う症候をしっかりと勉強できるため、その都度復習するのにも適しています。具体的な薬剤の使用方法も記載されているのがまたいいですね。表をコピーして、自分のノートに貼ってカンペにもしました。
外傷など外科救急に関する記載は乏しいため、他書で勉強する必要があります。
第1位タイ!
書籍名
初めてのけいれん さあどうするか
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:けいれんへの対応、考え方を学べる
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目に読みました。
「てんかん」ではなく「けいれん」にフォーカスを当てた良書です。多くの医師に必要なのはてんかんの診療ではなく、てんかんを見たときの対処、考え方でしょう。
本書では、まずけいれんを止める、てんかんかどうかはその後考える、というところから始まります。そして、いつ?何してるとき?どんな発作?どれくらいの時間?発作後の様子は?と問診すべき事の説明がわかりやすいです。搬入時はけいれんが既に止まっている事も多く、発作を目撃した人にこれらの問診を行い、急性症候性発作を除外したうえで専門科にコンサルトが出来るだけで、優れた研修医・救急医と言えるでしょう。
小児科の先生が執筆されていますが、全ての医師にオススメです。読めば明日からのアクションが変わる。そんな本です!
第1位タイ!
書籍名
この失神、どう診るか
レビューした人
医師5年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★☆
この参考書を読むタイミング
研修医2年目, 後期研修の働きたて, 後期研修中やそれ以降
この参考書を一文で表すなら
失神診療のリアルを楽しむ
読者の感想
以前読んだ「失神外来を始めよう!(文光堂)」に続いて、失神の知識を深めようと思い読みました。感想としては、滅茶苦茶面白かったです!正直、、、失神ナメてました(専門家の先生すみません)。
救急外来系の参考書の1章くらいでは語ることが出来ない内容がこの本には詰まっています。実際の20症例をベースに反射性失神、心原性失神、てんかんを主に解説しており、合間のコラムで重要な知識・トピックスが紹介・整理されています。普段お目にかかれない、というよりは見逃しているだけかもしれないような重要な症例がたくさん紹介されており勉強になりました。
非循環器医の自分としては、植え込み型ループ式心電計やtilt試験ってこんなに閾値低くやってんだなあという感想を持ちました。また、自分はてんかんを診ることも多いのですが、側頭葉てんかんでは心抑制型血管迷走神経性失神に極めて類似した脈拍変動がみられることがあるなんて恥ずかしながら初めて知りました。そんな風に、てんかんと失神の鑑別に対してもしっかり解説がなされています。
以前レビューした「失神外来を始めよう!(文光堂)」は何となく物足りなさがあったのですが、本書は症例ベースなおかげで失神診療のリアルを味わえました。一方、問診事項や診察方法などに関する記載は乏しいため、そちらは「失神外来を始めよう!(文光堂)」で補うといいと思いました。お互い足りないものを補っているような印象で、2冊とも読んでよかったです。
先に読むなら1冊目は「失神外来を始めよう!(文光堂)」がいいかと思います。注意点として、やっぱり心電図の本ではなく「診療読本」なため、ハイリスク心電図の波形の解説などはありません。それについては別途「心電図ハンター② 失神・動悸/不整脈編」もレビューしています。
失神を診る機会のある医師、特に循環器内科や神経内科を志望する方にとてもおススメです。研修医の先生や医学生であれば、まずは救急外来系の参考書から手を付けた方がいいでしょう。
第4位
書籍名
レジデント2016 1月号 かぜくらい診られますよって本当ですか?
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:夜間外来をする準備として
読者の感想
(2020年2月 記)
自分は当直業務が救急車対応だけの病院で研修をしましたが、ふと、自分はただの風邪の患者さんを診られるだろうか?と不安になり購入しました。
walk inの軽症患者を診ないといけない病院の研修医は、風邪診療の勉強は必須かと思います。大量に押し寄せる患者さんに全て血液検査を行う訳にはいかないですし、風邪を風邪と自信をもって言えることは重要でしょう。
そもそも風邪とはなにか、風邪診療の基本姿勢、抗菌薬の適応、風邪症状に隠れた怖い疾患の鑑別、妊婦の風邪診療、インフルエンザ、風邪薬のエビデンス、漢方薬など充実の内容です。医学出版のこの雑誌、安くて内容も意外と(?)充実していてレジデントノートより好きでした。バックナンバーがあれば取り寄せできるかもしれません。
第5位
書籍名
知っておきたい「てんかんの発作」
レビューした人
医師5年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
この参考書を読むタイミング
研修医1年目
読者の感想
てんかん/けいれん発作の初期対応ができても、てんかんの発作とは具体的にどんなものか?と聞かれて答えられる若手医師は少ないのではないでしょうか。
前兆が存在することも知らない、強直発作と間代発作の違いがわからない、非痙攣性発作がどんなものかわからないという方は読んでみるべきです。
本書は脳波とか抗てんかん薬とかはほぼすっ飛ばして、てんかん発作にfocusした本になりますが、他書ではあまり解説されていないことが多いところです。
一般の方用に見えますが、医師が読んでも勉強になります。2017年に発作分類は改訂されていますが、まだあまり普及しておらず、あえてわかりやすく旧名で解説しているのだと思います。
まず痙攣発作の対応を覚えたら、少し本書に立ち寄ってみてはどうでしょう?DVD付きで定価2300円は安いです。
第6位
書籍名
めまい診療シンプルアプローチ
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:めまいの見方をスッキリさせたいとき
読者の感想
(2020年2月 記)
自分は脳卒中が専門ですが、末梢性めまいの患者も多く診ます。正直、めまいを主訴とした中枢性めまいに遭遇した経験は数える程度です。それでもめまい患者は当科に沢山来られます。耳鼻科が手術日だと難聴、耳鳴りがあっても当科が見なきゃいけないという謎ルールがあるのも理由の一つですが、患者さんが頭を心配することがとても多いのが1番の理由です。
本書は文字通りシンプルにめまい診療を行うことを説明しています。幅広く対応できるフローチャートを用いて一貫した考え方を示しており、読んでいて非常に頭に入ってきます。初学者でも読みやすいです。
まず総論部分までの37ページを読むだけでもクリアカットに理解できます。本書で勉強した後は、末梢性めまいを自信を持って末梢性と診断できるようになりました。例外についてもキチンと解説しており、中枢性めまいの記載もあります。小難しい眼振の機序も書かれていますが、専門でなければ読み飛ばしても問題ないです。
欠点としては、やはりフレンツェル眼鏡を用いることを前提としている(まあ、そもそもそうするしかないのですが)ことや、定価4500円とややお値段が高いこと、購入する研修医が多いであろう「救急外来ただいま診断中」でもそれなりにめまいの解説がなされている(こちらはめまいを主訴とするめまいではない疾患の鑑別も解説されている)ためコスパで劣ると思いました。あと、眼振所見は忘れやすいため、読み返し度は5にしてます。
めまいを診る機会は多いと思いますので、一度しっかり勉強して頭を整理するには優れた本だと思います。
第7位
書籍名
失神外来を始めよう!
総合評価
★★★★★★☆☆☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:失神の基礎を学ぶ
読者の感想
(2020年2月 記)
医師3年目で購入し読みました。失神のガイドラインに沿って診療の進め方を解説した本です。100ページちょっとで、読むのにあまり時間はかかりませんでした。
まず失神の定義、問診・身体診察、初期検査までを踏まえたリスク評価の方法(心原性か否か)を解説しています。さらに心原性の緊急性判断、非心原性失神についての解説、さらに行う検査(専門的なものを含めて)、治療と続きます。
循環器内科を専門としない立場としては、リスク評価や非心原性に対する診断・対応に関しては勉強になりました。ただ、1番気になる心原性失神、特に不整脈性失神に関して心電図の説明はほとんどないため他書で勉強する必要があります。また、起立性低血圧をきたす原因は表一つで片付けられており、もう少しメジャーどころは解説が欲しかったかなという印象。
総じて、何をすべきかというリスク評価の勉強にはなったと思います。循環器内科を目指す、専門とする先生には物足らない内容かもしれません。「この失神、どう診るか」(メディカ出版)も読んでみたいです。
②感染症・抗菌薬系2冊
第1位!
書籍名
感染症プラチナマニュアル
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:感染症診療で逐一確認したいとき。実際に抗菌薬を投与するとき。
どのように:読み物としても優れている
読者の感想
(2020年2月 記)
毎年アップデートされている本書。
抗菌薬を実際に投与する際に、用法容量を調べるのに逐一確認しています。辞書的かつポケットブック的な使い方をしてますが、実は教科書、読み物としても優れていると感じています。だから読みやすい大型版が出たのでしょうか?
「感染症まるごとこの一冊」(南山堂)と同様に、微生物・抗菌薬・感染臓器と分けて記載されているのがいいですね。
「感染症まるごとこの一冊」で基礎を押さえて、本書でアップデートするという勉強方法を自分はオススメしてます。
第2位!
書籍名
感染症まるごとこの一冊
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:初期研修医の段階で
どのように:感染症の基礎を学ぶことができる
読者の感想
(2020年2月 記)
自分が初期研修医時代に最初に購入した感染症関連の参考書です。文字通りまるごとこの一冊で感染症の基礎的な内容を学べます。
というか、内科医師4年目になってもこの本で得られる以上の知識はupdateしておらず、専攻する科によってはこれで十分ではないかとも考えます。
矢野晴美先生の書籍では「絶対わかる抗菌薬はじめの一歩(羊土社)」(ピンクのやつ)も有名で、自分も本書と同時に購入しましたがほとんど読んでないですし、不要だったなとも感じました。
感染症は①感染臓器、②感染微生物、③抗菌薬のトライアングルで成り立っており、本書はこれらすべてを網羅的に学べます。「感染症診療」において抗菌薬の知識だけでは不十分なのです。そういう意味で、本書をまず1冊目として読むべきものとしてオススメします(複数の他書と比較したわけではありませんので、あくまでも個人的に)。
感染症はどこの科にいても必要となり、早めに学んでおかないと上級医の処方を眺めるだけでいつまでもモヤモヤした気持ちが晴れません。
総合評価は10にしたいところですが、発刊が2011年とやや古いかも?と感じただけです。実際治療する際には、毎年updateされている「感染症プラチナマニュアル(メディカル・サイエンス・インターナショナル)」や、各種ガイドラインも参照にするのがいいと思います。
①胸部X線・CTなど画像診断系3冊
1位!
書籍名
MRIに絶対強くなる撮像法のキホン Q&A
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:MRIの基本理解を深める
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目、脳卒中内科ローテート中に購入しました。何となく脳卒中診療におけるMRIの使い方はわかってきていましたが、基礎的な内容をしっかりおさえれば、その他の応用にもなると思い読みました。
本書はまず第0章で各種MRIのシーケンスについて、例えば、どれがT2強調画像なのか認識する方法、T2の意義などについてやさしく教えてくれます。そして、画像所見からどんな病態が想定されるのかを学べます。
MRIの原理についても比較的やさしく教えてくれていますが、結局分かったようなそうでもないようなという気分になるのはたぶん他書でも同じでしょう(自分だけかもですが)。ただ、パターンを丸覚えするよりは、本書で勉強した方が理解が深まるのは間違いありません。
その後第1~7章では各論で、頭部、脊椎・脊髄、胸部、腹部、、、と続きます。自分は頭部~脊椎・脊髄までしか読んでいませんが、そこでも基本的な内容や気になっていたことを勉強できました。
MRIを使うということは専門科にいけば必須なことだと思うので、どの専門となっても問題ないようにまずは本書で基礎を学んでみてはいかがでしょうか?
第2位!
書籍名
画像診断に絶対強くなる ワンポイントレッスン
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★☆☆☆☆
読み返し度
★★☆☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:役立ったのかどうかよく分からない。知識の付け足しにはなったと思う。
読者の感想
(2020年2月 記)
初期研修医の始めのほうに購入しました。自分の周りにも本書を持っている研修医はたくさんいました。そのくらい皆画像診断ができるようになっておきたいと思っているのでしょう。
読んでみた感想としては、「へえ、そうなのか」と当時は思ったと記憶しています。本書は①頭部、②胸部、③腹部の3つのpartに分けられ、それぞれのpartで主に救急疾患の基本的だけど重要な内容が述べられています。
解説はわかりやすく、知っていなきゃいけないことや、知っていてよかったということが多いです。ただ、何を目的に本を読み勉強するのかということははっきりさせておく必要があると思います。
各partを見ていくと、本書で記載されている内容だけでは全くの勉強不足だと思いますし、緊急疾患の勉強をしていれば自ずと画像の知識は得られるのではないかなとも感じます。
症例報告を聞いた/読んだようなtopic的な勉強ではなく、体系的に画像診断を勉強しようと考えている人には不向きです。あくまで教科書でなく読み物という立ち位置だと思います。
第3位
書籍名
下肢静脈エコーの攻略法
レビューした人
医師5年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★☆☆☆☆
読み返し度
★★★★★
この参考書を読むタイミング
後期研修中やそれ以降
読者の感想
下肢静脈エコーを実際に自分でする医師は限られると思います。循環器内科、救急医、脳卒中を専門とする医師向けでしょうか。
少なくとも必要性・興味がない初期研修医には不要ですね。病院によっては検査技師さんがやってくれますが、自分が勤める病院は習熟している技師さんが少なく、自分でやらなければならず購入しました。
本書は深部静脈血栓症(DVT)と下肢静脈瘤を主に解説しており、自分は脳梗塞の塞栓原検索のためにしかエコーをしていないので、DVTの項だけ読みました。感想としては、かなり画像が豊富であり、いたるところに初学者でもマネできそうな職人技、ピットフォール、ワンポイントアドバイスが散りばめられており、わかりやすかったです。
基礎から学べますし、本書を見ながら自分の足にあてて練習していました。初学者におススメです。唯一の欠点としては、皆が苦手とする下腿(膝窩静脈以下)の静脈の描出に関する解説がそれ以外の部位と比較してかなり乏しくなっている点です。総合評価は8点くらいつけたいですが、その点と多くの医師に必要なものではないことを考慮して6点としました。
④研修医生活でお役立ち系6冊
第1位!
書籍名
診察と手技がみえる2
総合評価
★★★★★★★★★★
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:一般的な手技の予習・復習に
読者の感想
(2020年2月 記)
学生中に購入しましたが、病棟実習中しか読みませんでした。
研修医以降はことあるごとに読み直し、手技の予習・復習に使用しています。手技本としては一番有名なのではないでしょうか?図解が豊富で、非常に読みやすいです。
定価6000円とお高いですが、買って損はしないと思います。指導医に「明日CV入れるから」、「午後から腰椎穿刺するよ」などと言われて慌てないように、研修医になったらまず購入しましょう。
第2位
書籍名
この1冊で極める 不明熱の診断学
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:不明熱で困ったとき
読者の感想
(2020年2月 記)
3年目のときに購入し読みました。
本書はまず不明熱に対する基本的な姿勢・ストラテジーについて説明され、その後具体的にどんな疾患で不明熱となり得るのかの各論に移ります。ここでリストアップされている疾患(①よく出会うもの、②そんなの知らないよ、の2郡に分けて記載されています)をすべて想定していなければ、不明熱は不明熱のままで終わってしまいます。その後の章では、発熱+αのαを探すために重要となる問診事項、身体診察のポイントがまとめられています
各種検査についても、有用性や意義が記載され勉強になります。
一通り読むと不明熱に対するアプローチがなんとなくつかめてきます。ただ、一回読んで全てを頭に入れることは不可能で、その必要もありません。
緊急でないことが判断されれば、本書を片手に次はこの所見を取りに行こう、この検査をやってみようとストラテジーを立てるような使い方でいいのではないでしょうか。自分は一緒に不明熱を担当してくれた初期研修医と本書で勉強し、あーでもないこーでもないと考えて診断に至り楽しかったです。不明熱で困ったら傍らにいてほしい、そんな本です。
第3位タイ
書籍名
自信がもてる!せん妄診療はじめの一歩
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:せん妄への対処を学びたいとき
読者の感想
(2020年2月 記)
同じく羊土社から出版されている「内科医のための不眠診療はじめの一歩」と一緒に購入し、2年目の精神科ローテート中に読み切りました。病棟管理力を高める一冊です。
不眠とせん妄はセットで勉強したほうが効率がよさそうです。結局精神科のことはこの2冊しか勉強しませんでした。今のところそれで大きく困っていないと言ったら精神科の先生に怒られるかもしれませんが、、。ただ、せん妄治療の中心は抗精神病薬になるため、その知識に関しては本書でも勉強できます。
本書では、まずせん妄の症状は幻覚・妄想、精神運動興奮だけではなく、低活動型のものも存在することを強調しています。そういったせん妄のアセスメント・鑑別に加え、薬物療法および非薬物療法、予防に関して分かりやすく説明しています。
「内科医のための不眠診療はじめの一歩」と併せてささっと効率よく勉強してみてはいかがでしょうか?
第4位
書籍名
内科医のための不眠診療はじめの一歩
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:不眠で困ったとき
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目の精神科ローテート中に購入し読みました。自分は研修医の時に身につけるべき能力として以下の2つを考えます。
① 救急
文字通り緊急を要する状況への対処力。これがないと患者さんが不幸になります。そして、事前に想定して勉強しておく必要があります。必須である事に異論はないでしょう。
② 病棟管理
これは病棟で起こる様々なことへの対処力です。輸液、抗菌薬、栄養、便秘、せん妄、皮膚トラブル、リハビリなどですね。不眠もまさしくここに分類されます。これがないと病棟スタッフ、特に看護師さんに信用されません。
本書は患者の不眠への対応を学ぶのにオススメです!せん妄との鑑別や、薬物療法では具体的な薬剤使用のルールや注意点、処方のケーススタディの記載があり、非常に勉強しやすい内容となっています。
最近よく使用されるベルソムラはまだ販売されていなかったので、記載されていません。そこが少し残念なところですね。
睡眠薬の知識は今後ずっと使用していくでしょうから、精神科ローテート中など比較的時間のあるときにしっかり勉強してみてはいかがでしょうか?読み切るのにそんなに時間はかかりません。
第5位
書籍名
よくある副作用症例に学ぶ降圧薬の使い方
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
降圧薬の使い方を学べる
読者の感想
(2020年2月 記)
降圧薬を1度も自分で処方した経験がなかったため、研修医2年目に慌てて買って勉強しました。降圧薬の参考書は意外と多くなく、本書はその中でも良書だと感じました。
第1章でまず降圧薬の使い方のヒントを記載しており、その中でいきなり「不適となる薬剤を正しく除外できれば、大きな間違いはしていないと考えてよい」と教えてくれたおかげで、自分でも実際に降圧薬を使っていいんだと自信が持てました。そして、その後の章で各種薬剤の特徴や使い方、副作用を解説し、実際の症例提示に進みます。同系統薬剤の半減期や降圧の強さを示してくれているのが良かったです。
また、タイトルにあるように「副作用症例に学ぶ」ことで、「大きな間違いをしない」ための勉強になります。
第3章は高血圧治療ガイドライン2014年版について解説しており、ここは2019年版で各自アップデートする必要があるため、総合評価は少し下げて7としました。改訂第5版が早く出版されれば嬉しいのですが、、。そうでなくても、すべての医師にオススメです。
第6位
書籍名
成人食物アレルギーQ&A
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★☆☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:診療に用いたわけではないのでわかりません。
読者の感想
(2020年2月 記)
食物依存性運動誘発アナフィラキシーで経過観察入院した患者さんについて、内科専門医(J osler)の症例要約を書くために知識をつけようと思い購入しました。自分は普段アレルギーを専門としてはいませんが、素人の立場で「なるほど」と思うことも多かったためreviewしようと思いました。
本書の序文を見ると、成人食物アレルギーにfocusを当てた本は本書が本邦初だそうです。専門でなければ普段救急外来でアナフィラキシー対応をするか、薬物アレルギーを診る機会しかないため、新鮮な知識が得られました。
成人では果物アレルギーが多いことや、花粉アレルゲンとの交差反応で果物アレルギーを起こす(花粉-食物アレルギー)なんてことは聞いたことすらなかったですし(自分だけ?)、どういった検査をするのかなども記載されていました。
ただ、普段プライマリーケアをされている先生方の診療に役立つ十分な内容になっているかは、自分の立場では論じることはできません。アナフィラキシー対応の方法だとか、抗ヒスタミン薬の使い分けなどの記載もありません。
しかし、食物アレルギーを専門とする先生は多くないそうで、今後自分で内科外来などをするようになれば役に立ちそうだなとは感じました。Q&A形式なのですばやく参照しやすいです。
⑤神経内科・脳卒中14冊
1位!
書籍名
病気がみえるVol.7 脳・神経
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★★
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:神経系のファーストタッチ!!
読者の感想
(2020年2月 記)
これは有名ですね。病気がみえるシリーズです。その中でも神経は超オススメですね。医師4年目になっても自分の中では第一線で活躍しています。
実際に臨床判断で迷った際に参照することは流石にありませんが、「あー、聞いたことある病気だな。国家試験でやったぞ」という疾患にはやっぱりちょこちょこ出会います。そんな時まず手に取るのが本書です。ネットよりも断然こっちですね。
すぐにイメージできて、その他書籍での勉強がスムーズになります。つい最近も「ついに来た!ALSっぽい!」と本書に立ち返りました。見やすい、わかりやすい、よくまとまっている、各種領域をカバーしている、意外と詳しい、といい所いっぱいですね。学生時代から購入すべきだと思います。
時々看護師さんに「先生教えてください」と言われますが、「病気がみえる買ってないの?出直してこい」という気分になります。コメディカルの方々にもオススメです。
第2位
書籍名
神経内科ケーススタディー 病変部位決定の仕方
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
なぜ:神経内科診断における考え方の基礎が学べる
読者の感想
(2020年2月 記)
自分は内科の立場で脳卒中を専門としていますが、神経内科医ではありません。しかし、よく脳卒中以外の神経疾患も紛れ込んで紹介を頂きます。
新患外来をするようになった医師4年目の始めに購入し読みました。脳卒中ばかり診てきたけれど、そもそも自分は神経内科診断の基礎が分かっているのか確認したかったからです。脳卒中の場合、局在診断が曖昧な若手でも頭部MRIを撮像すれば結果オーライになることも多いですから。
読んでみて、これ勉強せずに神経領域にいたらこの先恥ずかしい目にあってただろうなと感じました。それくらい自分は神経診断の基礎がわかっていませんでした。一つ一つの診察方法のやり方は学んで何となくできていたけれど、まず全体像をつかむのに本書は最良だと思います。よって、神経内科のローテートが決まった初期研修医の1冊目に読むべき参考書として本書をオススメします。
古い本ですが、全体として100ページくらいの分量で、非常に読みやすい。数日で読めます。まず本書の第1章で、全ての神経疾患を発症様式(症状の完成に至るまでの速度)で鑑別することを学びます。わかっているようで、これ本当に重要なポイントです。これが分かっているだけで問診力や緊急性の判断、コンサルトの質が変わると思います。それに続いて、反射、末梢神経、長経路、脳神経などと病変部位決定の仕方を学びます。
本書では診断の考え方が非常によくまとまっていますが、具体的な診察方法や詳細な解剖学、各疾患の各論については明記していません。そのため、それらは他書で勉強しておく必要があります。それでも、本書読んだ後にそれらを勉強するとスムーズに頭に入ってきます。
次の参考書へのステップアップのための本ということで、読み返し度は3としました。神経内科の1冊目に是非どうぞ!医学生にもオススメします!
第2位タイ!
書籍名
リハに役立つ脳画像
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:頭部MRIでの大まかな機能解剖をつかめる
読者の感想
(2020年2月 記)
脳卒中を専門とするようになった3年目の最初のほうに購入し読みました。頭部MRIをよく見る科を回るけど、大まかな機能解剖を勉強したい、けど何から始めたらいいのかわからないという方にオススメです。
本書はリハビリスタッフ向けに書かれたものですが、脳を専門とする医師の自分にも役立ちました。本書に書かれている内容を全ておさえておくことができればかなりのものだとも思います(自分も未だマスターできていません)。
また、頭部MRIの原理だとか、なぜその画像変化をきたすのかなどの難しいことも記載されていません。単純に「脳構造の同定の仕方」、「その部位の機能」、「脳卒中で生じる症状」をざっくりとつかむことができます。説明もわかりやすく、1つ1つなるほどと感じながら覚えることができます。
「Broca野ってなんとなく前頭葉のこの辺にあるのはわかるんだけど、、、」とあいまいになっているのであれば、本書での勉強をおススメします。診察の本などを読んで、「実際それMRIでどこにあるの?」とリンクさせながら勉強するのもいいかもしれません。
神経診療において症候ー診察ー機能解剖は切っても切れない関係のため、勉強しにくいですし、時間もかかり、結局断念してしまった方も多いのではないでしょうか?小難しい分厚い書籍よりも、まずは本書のような気軽なものがいいと考えます。
第4位
書籍名
神経診察クローズアップ
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
入標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:神経診察の勉強でいつでも役立つ
読者の感想
(2020年2月 記)
脳卒中を専門とすることを決めた際(初期研修医後半)に購入し、今に至るまで何度も読み返しています。診察方法を学び、それを実践して所見を取ることは重要ですが、それだけでは不十分です。それをもとに病巣診断ができなければ、適切な検査を選択することはできませんし、診断には至りません。
本書はオールカラーで、脳神経や運動系、感覚系、小脳など各章ごとに「診察の方法」と「診断プロセスからみる病巣部位、考えられる疾患」の2本立てで構成されています。
「診察の方法」では説明が具体的で、注意すべきポイントなどの記載が行き届いており、わかりやすいです。また、図(イラスト)がふんだんに盛り込んでいるため指導医の診察を見ているかのように勉強できます。
「診断プロセスからみる病巣部位、考えられる疾患」では解剖・生理の重要ポイントがイラスト付きで説明され、診察でその所見が得られるのはなぜなのか?どこが悪さしているのか?などが分かるようになります。
上記2本立てで勉強することが、神経診察・診断には重要だと思います。ただ、神経診断を本書を1周読むだけですべてを理解し、マスターするというのは不可能だと思います。繰り返し何度も読み、臨床で実践して、画像検査などで答え合わせをして、、その繰り返しです。自分もまだまで勉強中の身です。
神経診察を勉強するなら「神経内科ケーススタディ 病変部位決定の仕方(新興医学出版社)」をまず読み、本書に移るのが効率的だと思います。学生にもオススメします。
第5位
書籍名
神経内科 Clinical Question & Pearls 脳血管障害
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編/標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:脳卒中診療の勉強
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目、脳卒中内科をローテート中に読みました。神経内科医が脳卒中をどのように診断、治療を行なっているかを学ぶ事が出来ます。専門性が高い内容ですが、脳卒中ガイドラインを読むよりは読みやすく勉強しやすいためレベルは標準としました。
脳卒中、特に脳梗塞(手術適応でないもの)は内科が診ることも多く、その診断・治療についての記載が主となります。脳卒中診療はスピードが求められ、その他神経内科疾患とは対応が異なります。特に超急性期のrt-PAや血栓回収療法の対応となると、その適応判断を速やかに行わなければなりません。本書ではそういった患者にどんな診察をして、頭部MRIではどの撮像法を選択し、どのように適応を判断するかを学べます。
また、適応外であっても急性期治療はどうすべきなのか、それを判断するための病型診断、発症機序の想定が重要です。「結局抗血小板薬と抗凝固薬しかないのに何をあれこれ検査してるの?」と思われるかもしれませんが、神経内科医はこの病型診断に命をかけてます。予防法を間違えると入院中にでも再発し、機能転機は悪化するからです。
脳梗塞の原因は何なのか、それをどんな検査で診断するのかを学ぶ事が出来ます。Q & A形式なので読みやすいですし、実際に担当した患者さんで気になったところを摘んで読むのにもいいと思います。
脳卒中の症候、具体的な診察方法、解剖生理については記載がありません。また、脳外科手術手技などもありません。あくまで内科の立場で脳卒中診療を解説した本になります。本書は2016年発刊で、rt-PAや血栓回収療法の最新の適応には対応してません(基本的な考え方はちゃんと学べます)ので、そこはガイドラインでアップデートする必要があります。
第6位
書籍名
ここに目をつける!脳波判読ナビ
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:脳波を基礎から学ぶ
読者の感想
(2020年2月 記)
医師3年目にてんかん診療をやるようになって購入しました。
脳波はとっつきにくい分野であり、何から始めたらいいのかもよくわからなかったのですが、先輩に本書をオススメされました。他書との比較はできませんが、脳波の初めの1冊としてはいいのではないかと思いました。一気に読み込んで4日程で読破しました。ただ、やはり難解な領域であり、マスターしたとは程遠い理解度ですが、繰り返し読んでいけば知識としての基礎は身につきそうだな、という印象は持てた(これだけでも自分の中では大きな進歩と思えるほど最初は未知の領域でした)ので、いい本なんだと思います。
今後も事あるごとに読み返して実際の判読のトレーニングをしていこうと思います。
第7位
書籍名
脳脊髄血管撮影超実践マニュアル
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:脳Angioを実際に行うときに役立つ
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目、脳神経外科ローテート中に購入しました。自分は脳血管内治療が盛んな脳外科のある病院で初期研修をしました。担当医でなくても脳Angioは可能な限り全例参加し、参加した症例は穿刺からカテーテル操作、圧迫止血まで全てやらせてくれたので非常に勉強になりました。そのときはいつも勉強は本書を参照にしていました。
もちろん上級医の手取り足取りの指導もとても勉強になりましたが、自分での学習も欠かせません。本書は穿刺~撮影まで実践的な内容で、実際のワイヤー/カテーテル操作を上腕穿刺・大腿穿刺の2パターンに分けて解説しています。特に、豊富なシェーマと実際の撮影像を並列させて解説しているのがなにより素晴らしいです。シェーマがあることでスムーズにイメージ・理解しやすいです。本書での勉強と実際の手技を繰り返し行うことで上達していくと考えます。
脳血管内治療の本は多く出てきましたが、脳Angioの本は多くなく、1冊目の本としては本書をおススメします。
第8位
書籍名
神経内科 Clinical Question&Pearls 頭痛
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:外来で頭痛を診るとき
読者の感想
(2020年2月 記)
医師4年目に購入し読みました。自分は脳卒中を専門としておりますが、外来で頭痛も診ています。
難易度が高いわけではありませんが、専門的な内容であるため初期研修医の先生に本書をオススメすべきか悩みました。頭痛は多くの医師にとって救急外来で診るものであり、危険な二次性頭痛が否定できればOKで、それは本書で勉強する必要はありません。ただ、神経内科を志す方、救急外来のその先を診たいという方もいると考え、reviewすることにしました。
国際頭痛分類というものが存在し、その内容を見てみるとかなり細分化されておりマニアックとも感じることがあります。極端なところでは「宇宙飛行による頭痛」なんてものまであります。そういったところは置いといて、まずは基本となる片頭痛、緊張型頭痛、TACsなどの一次性頭痛の勉強をするには本書はオススメです。多くの神経内科疾患のガイドラインと同様にQ&A形式で要点がまとまっており、読みやすかったです。
勉強方法としては、まずは診断基準を覚えてしまいましょう。そこから周辺知識を肉付けしていくと頭痛の知識が強固となります。患者や他の医師(非専門医)が言う「片頭痛」は信用してはいけません。自分で片頭痛なのかどうか判断して、薬剤投与を行うことが必要です。
トリプタン製剤の使い分けも具体的に記載されており、実際に自分で処方したトリプタンが著効したときは滅茶苦茶うれしくなります。急性期治療のみならず、予防治療のための薬剤の選択まで勉強できればまずまずではないでしょうか?頭痛に悩んでおられる方は多く、自分の病院職員もたまに薬を出して欲しいとやってきます。そんな方々の力になれるのもうれしいです。
もちろん二次性頭痛に関する記載もあり、危険な頭痛などおさえるべきところはおさえています。
外来をしている自分にとってはパートナーみたいな存在です。頭痛に興味がある方などは本書で勉強してみてはいかがでしょうか?
第9位
書籍名
症例から学ぶ 戦略的急性期診断・治療
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
なぜ:脳卒中診療をイメージしやすい
読者の感想
(2020年2月 記)
医師4年目に脳卒中診療の復習目的で購入しました。脳卒中専門医がガイドラインに沿って、その上でどのように考え診断し、治療を行っているかが全て症例ベースで紹介されており、イメージしやすいです。
脳卒中治療ガイドラインを読んだだけでは診断については勉強できないですし、治療に関しても初学者ではイメージがしにくいです。よって、結局実際に診療にあたり症例を経験していくしかないのですが、脳卒中診療はスピードが求められるため、急性期診断・治療のための判断力が重要になります。そのため、症例にあたる前から事前の勉強・シミュレーションが必要です。
本書は最新のエビデンスを整理したうえで、それぞれの症例でどう活用するのかというシミュレーションが学べます。脳卒中における典型的・代表的な病型・病態が網羅されているので、初学者であれば実際に担当した症例で上級医のやっていたことを本書で確認すると効率がいいと思います。
専門的な内容にはなりますが、研修医の先生や駆け出しの神経内科医におススメです。
第10位
書籍名
絵でみる脳と神経 第4版
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:脳の解剖・生理を学ぶため
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目の時に一通り読みました。脳の解剖・生理、症候学を優しく解説した本です。イラストを豊富に用いているため理解しやすく、そして運動・感覚神経などの長経路の走行なども詳しく記載されてあります。また、読み物風な解説なので読やすいです。
基礎的な本ですが、本書の内容を理解しておくだけでも相当なものだと思います。学生にもオススメしたいです。これで定価2800円はすごいと思いました。
第11位
書籍名
ひと目でわかる認知症画像診断ハンドブック
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:認知症画像の基礎を学ぶとき
読者の感想
(2020年2月 記)
4年目のときにMRさんにもらいました。もちろん認知症は画像のみで診断するものではありませんが、簡単な認知症総論、認知症画像(MRI、VSRAD、SPECT、シンチ、DAT)がコンパクトにまとまっていて読みやすかったです。70ページ程度のオールカラーです。
ただ、診療における問診や診察方法、鑑別診断のための検査項目、病理、治療、福祉などについては記載がないため他書で勉強する必要があります。その他書のお供として、という使い方がオススメです。
第12位
書籍名
標準頚動脈エコー テクニックと意義
総合評価
★★★★★★☆☆☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
発展編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:頚動脈エコーの解釈、検査手技の勉強
読者の感想
(2020年2月 記)
医師3年目で購入しました。実際に頚動脈エコーを行うまたは依頼する必要のある方のみにオススメですね。最新の2017年ガイドラインに遵守した内容になってます。
実際の手技・テクニック、検査結果の解釈が豊富な画像とともに解説され、頸動脈エコーの関してはこの本1冊で十分ではないでしょうか?練習問題もあって理解が深まります。
専門的な内容ですべての方に勧めるものではないので総合評価は6としました。
第13位
書籍名
脳卒中ビジュアルテキスト 第4版
レビューした人
医師5年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★☆☆☆☆☆
読み返し度
★★☆☆☆
この参考書を読むタイミング
後期研修中やそれ以降
読者の感想
脳卒中を専門とする医師は全員持ってる(と、思われる)本です。
自分は初期研修医2年目で奮発して購入しました。お値段12000円です。
脳卒中の基本的なことは全て網羅して記載され、図・イラストも豊富なため上級医が研修医に「ほら、こうこうこうだからこうなんだよ」と指導・解説するのに使うことが多い印象です。実際自分もそうやって教えられました。
なるほど!とその時は納得し、いざ脳卒中を専門とすることを決心し購入し読みましたが、まあ読みにくいです。大切なこともたくさん書いてますし、局所局所でわかりやすく参考になるところもあるのですが、通読するには向いていないですね。
少なくとも医学生・研修医が脳卒中の1冊目として読むには不適切ですし、神経内科や脳外科をローテートしているときに張り切って1から読み込もうとするのはやめた方がいいと思います。自分は今後通読に再チャレンジしてみますが、脳卒中を専門とする医師が、基本に立ち返りたいときや、辞書的な使い方、教育用に用いるものだと思います。
医学書の読むタイミングって大事ですね。
第14位
書籍名
極論で語る神経内科
総合評価
★★★★☆☆☆☆☆☆
読み返し度
★★☆☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
なぜ:特に役に立つというものではない
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目の時に読みました。極論で語るシリーズ。読み物としては面白いのですが、勉強するための参考書としては立ち位置が難しいですね。
神経内科医がどういう考え方をしているのか、などをざっくりつかむにはいいと思いますし、本書を読んだあとに各疾患の勉強に入るとイメージしやすいのかなと思います。今読み返すと「そーだよね」とか「なるほど」と思えるのですが、研修医のときは「フーン」くらいしか感じなかった気がします。他の研修医の先生が読んでどう感じるのかはわかりません。
そういう意味では神経内科を目指すことを決めた研修医の先生がコーヒーブレイク中や電車移動中などに肩の力を抜いて読むのがいいのかもしれません。コラムを含めて、読み物としてはとても面白いです。すみませんが、自分にはこの本の良さを伝えきれません。
⑥循環器内科(心電図)7冊
第1位!
書籍名
3秒で心電図を読む本
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★★
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:心電図の勉強の1冊目として
読者の感想
(2020年2月 記)
初期研修医のとき、医学書として初めて購入したのが本書です。
心電図の教科書というよりは読み物に相当すると思いますが、非常に良かったです。ブログ主様も「正常心電図を自信をもって正常と言うことができるようになる」、「心電図への抵抗が減る」とおっしゃっていましたが、まさしくその通りです!
付け加えさせて頂くと、自分としては「勉強への抵抗」が減った一冊でもあります。そのくらい筆者の語り口が面白くて、「医学書ってこんなに面白いの?」と衝撃を受けました。それ以降、参考書での勉強を全く苦に思わなくなりました。
是非、心電図の勉強の1冊目としていかがでしょうか?
第2位タイ!
書籍名
レジデントのためのこれだけ心電図
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:心電図で困ったとき
どのように:すぐに確認できる
読者の感想
(2020年2月 記)
正直、心電図は何冊も参考書を購入してしまいました。
初期研修医時代にまず読んだのが「3秒で心電図を読む方法」(メディカルサイエンス社)ですが、これは当たりでした。その後さらに勉強しようと思って何冊か購入したのですが、どれもマスターできたと言えるほど読み込めませんでした。
当レビューを閲覧されるような勉強好きの方ならわかっていただけると思うのですが、勉強しだすとあれもこれも学びたくなって、かつ、担当している患者さんのことでも色々と調べなきゃいけないし、、、と心電図だけに勉強時間を割いてトレーニングする暇ってあまりないんですよね。自分は計4か月半の期間を循環器に身を置いていましたが、それでも結局心電図には全く自信が持てないままでした(少し循環器入局も考えましたが、この理由でやめました)。
本書に出会ったのは医師3年目のときで、その時の初期研修医が持っていたのを見て欲しくなって買いました。やっぱり通読して読み込む時間はないのですが、「あれ?どうだったかな」と思ったその都度本書で確認しています。
その波形・不整脈になる病態・機序、その治療法がわかりやすく記載されており、入門書なのに辞書的な使い方をしています。ただ、筆者も「初心者がどのように勉強したら理解しやすく効率が良いか」ということにとても配慮されており、初期研修医が最初によむ本としても非常にオススメできます。
自分も研修医の時にこの本が発刊されていたら、時間もお金も節約できて、かつ心電図の基礎に自信が持てたと思います。ぜひ手に取っていただきたいです。
第2位タイ!
書籍名
心電図ハンター②失神・動悸/不整脈編
レビューした人
医師5年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★☆
この参考書を読むタイミング
研修医1年目, 研修医2年目, 後期研修の働きたて, 後期研修中やそれ以降
この参考書を一文で表すなら
心原生失神の心電図およびコンサルトの達人になる
読者の感想
「失神外来を始めよう(文光堂)」、「この失神、どう診るか(メディカ出版)」に引き続き、失神の勉強のための3冊目として読みました。
どういった参考書かというと、以下の3点になります。
・心原生失神および動悸をきたす不整脈の解説が主。ページの約4分の3は失神について。
・不整脈の実際の波形の解説。
・その心電図を見た時のルーチンワーク、その後のマネジメントを詳しく解説。
本書の冒頭部分で「失神に対して循環器科に精査を依頼して、入院精査で心原生失神と診断できるのはほんの一部であり多くは正常なため、結局初回でとった病歴と心電図判断によりマネジメントが迫られる」との記載があります。よって、初回の心電図で心原生失神を疑う所見を読み取れる必要があり、その心電図に気づいた時のマネジメントを知っておく必要がある、というのが本書のコンセプトです。
これまでの2冊では、「こういった所見は心原生失神ハイリスク因子だよ」という解説はあったものの、実際の心電図波形の解説はほとんどありませんでした。本書では房室ブロック、脚ブロック、ブルガダ症候群、早期再分極症候群、不整脈原生右室心筋症、QT延長症候群、wide QRS tachycardia、デバイス関連などを詳しく解説しています。そして、なにより素晴らしいのがそのマネジメントまで詳しい点です。心電図は治療とセットで覚えましょうと書いてある本はよく見ますが、「緊急だから循環器コンサルト」としか書いていないことも多いです。本書ほど詳しく、循環器医の気持ちを考慮して、非循環器医は何が出来るのかを解説した本は自分は見たことがありません。
ただ、発作性房室ブロックなど来院時の心電図が心原生を疑わない場合はどうするのか、問診・身体診察ではどこに注目するのか、非心原性失神、植え込み型ループ式心電計の適応などについてなどはほぼ記載がなく、あくまで救急外来の心電図で不整脈を捉えることができたときに非循環器医はどう対応・マネジメントするのか?という本です。まあ、救急科の先生が書かれているので救急外来系の本になるのかなと思います。
コンサルトを受け、救急外来のその先も診なくてはならない循環器医が読むには物足りない本かもしれません。また、基本的な心電図の勉強をしてから読んだ方が効果的だと思うので、心電図の勉強としての1冊目としてはお勧めしません。
第4位タイ!
書籍名
聞きたかった!心房細動の抗凝固療法
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:心房細動に出会ったとき
どのように:抗凝固法の基礎を学べる
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目、脳卒中内科を研修中に購入して読みました。ワーファリン、NOAC/DOACについての知識が必須だったからです。
自分は脳卒中を専門とするようになりましたが、今や心房細動はcommon deseaseであり、どんな医師でもある程度の知識、すなわちリスク評価を行い、抗凝固療法を使えるようになる必要があると思います。救急外来でたまたま心房細動を見つけてしまったけど、近医循環器を受診するようにと指示するだけだったり、入院時に心電図をみていなかった整形外科の患者をこの1年間だけでも何人か血栓回収しましたし、それも叶わず寝たきりになった方もいます。訴訟問題もあり得ます。
本書はまず読みやすさが抜群でした!2.3日あれば読み切れると思います。まず簡単な心房細動についての復習から始まり、ワーファリン、NOAC/DOACの説明に続きます。一通り必要な知識が得られます。
ただ、この分野は日々新たなデータが出てくるもので、2015年発刊と特別古くはないですが最新データの記載はありません。そういう点も考慮して総合評価は8としました。
とはいえ、抗凝固療法の土台となる知識を効率よく素早く勉強するにはとてもオススメです!
第4位タイ!
書籍名
もう怖くない!心房細動の抗凝固療法
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:実際に抗凝固療法を処方する医師のための本です
読者の感想
(2020年2月 記)
自分は脳卒中を専門としているため、逐一本書を参照しています。「聞きたかった!心房細動の抗凝固療法」(南江堂)という本もreviewさせていただきましたが、本書は実際に抗凝固療法を処方する立場の方のための本であり、より実践的です。出版も2017年と新しいためよりアップデートした内容となっています(それでも次々と新たなエビデンスが出てくる領域なため自分でアップデートしないといけないところもあります)。筆者は日々心房細動に関する論文を目を通し、ブログでも情報を公開している非常に情熱のある方です。
内容としては、脳梗塞のリスク評価、どのように患者に説明し抗凝固薬を開始するか、抗凝固薬の選び方、管理方法が記載されています。
基本的に抗凝固療法に関する記載しかないため、その他心房細動診療(レートコントロール、リズムコントロール、アブレーションなど)については言及していません。
循環器内科、神経内科を目指す医師にオススメです。
第6位
書籍名
心不全管理をアートする
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:心不全管理の全体像がつかめる
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目、循環器内科ローテート中に読んだと記憶しています。教科書というよりは読み物に近いと思いますが、実践的な内容です。急性期治療にとどまらず、長期的な予後を見据えた管理のためにどうするべきなのか、ということを全100ページちょっとでわかりすく解説しています。
本書を読むにあたって、心不全の勉強のための1冊目には適さないと思います。ある程度基礎的なことを知った上で、かつ、知っているが故に頭の中で整理できていないという方におススメです。
心不全の病態や管理の全体像(筆者は「脚本」と表現している)をつかむことができ、とてもすっきりと理解できます。自分は循環器内科医ではありませんが、役に立つ内容でした。
第7位
書籍名
超実践的!抗凝固薬の使いかた
総合評価
★★★★☆☆☆☆☆☆
読み返し度
★☆☆☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
なぜ:役立たなかった、というよりそもそも必要なかった。
読者の感想
(2020年2月 記)
各種抗凝固薬の特徴、心房細動と静脈血栓塞栓症のリスク評価と治療方針、各疾患での薬剤の選択と使い方、などを解説した本です。循環器を専門とする先生からすると抗凝固薬についてよくまとまった内容なのではないかと思います。
ただ、自分は脳卒中を専門とする身のため本書は必要なかったな、という感想です(そもそも循環器内科向けの本です)。心房細動と深部静脈血栓症までは自分で診ますが、肺塞栓症までいくとさすがに循環器内科の領域です。それに、心房細動に関しては既に「聞きたかった!心房細動の抗凝固療法(南江堂)」と「もう怖くない!心房細動の抗凝固療法(文光堂)」で勉強していた内容で、これらの本の方がリスク評価などを含めて内容は充実している印象でした。
加えて、静脈血栓塞栓症に関しては診療ガイドラインをしっかり読み込むべきだと思うので、抗凝固療法からのアプローチのみでは不十分な気がします。循環器内科向けであるならばt-PAの記載もいらないですね。
以上、自分にとっては不要だったという評価が主になってしまいましたが、循環器内科を目指す方は検討、その他の方は他書でよい、といったところでしょうか。
⑦救急・ICU2冊
書籍名
ER・ICU診療を深める2 リアル血液浄化
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★☆☆☆
参考書のレベル
標準編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:重症患者管理の際に役立つ
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目に読みました。今は第2版(Ver.2)が発売されているようです。集中治療におけるCRRT(持続的腎代替療法)についてわかりやすく解説した本になります。ICU患者を診ていると時折治療の選択肢に挙がってきますし、その際に何をやってるのかさっぱりわからない、というのは嫌だったので購入しました。
HDとの違いや、CHD・CHF・CHDFの原理・効率がとても分かりやすく解説されており、逐一シミュレーションが載っているのがすばらしく理解しやすいです。吸着療法についても言及されており満足のいく内容です。本書で勉強した後はMEさんとも語り合って色々教えてもらえました。
ただ、今は全くやってないので内容はほとんど覚えていないです。将来腎臓内科や循環器内科を目指す方には特にオススメです。
書籍名
しみじみわかる血栓止血 Vol.1 DIC・血液凝固検査編
総合評価
★★★★★★★☆☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
どのように:凝固異常検査の解釈がわかる。DICの病態がつかめる。
読者の感想
(2020年2月 記)
研修医2年目で読みました。学生時代に習った血栓止血学の復習をしたくて購入しました。
まず血栓止血の基礎と血液凝固検査の基本、そしてDICの病態について1つ1つわかりやすく解説しています。基礎的なところをおさえながら、臨床で考えなければならないことも説明してくれているので、臨床にも直結する内容だと思います。なぜワーファリン導入時にヘパリンを併用するのか、APTT上昇から何を考えるべきか、などが分かるようになります。DICの章が本全体のおよそ3分の2程を占めており、事細かにDICの病態をわかりやすく解説しています。
全体で140ページくらいですが、あまり読破に時間はかかりません。凝固系の細かいところは覚えるのが少し大変ですが、自分はその都度本書で復習しています。凝固系検査は何となくしかわかってないけどほったらかしにしている方、1度基礎的な内容を復習したい方にオススメです。
⑧糖尿病内科2冊
書籍名
ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:常に
どのように:本書を参照している
読者の感想
(2020年2月)
自分が初期研修医の時は第2版でしたが、既に第4版まで出ていました。糖尿病診療の基礎、各種薬剤のエビデンス・使い方・注意点、合併症などの内容を取り上げています。
これから糖尿病内科をローテートする研修医にオススメを聞かれたら、とりあえずローテート中に本書を必ず読み切ってしまえとアドバイスすると思います。糖尿病を専門としない内科を志しているのであれば、本書の内容をおさえておけばそこまで困らないのではないでしょうか?というより、必須の知識が詰まっていると思います。
その他、自分は糖尿病の勉強として、本書と「入院インスリン治療マスターブック(南江堂)」を常に参照しています。加えて、カンペになるポケットブックが欲しかったため、「糖尿病グリーンノート(中外医学社)」に本書で勉強したことを追加で書き込んで自作のノートにしていました。
書籍名
入院インスリン治療マスターブック
総合評価
★★★★★★★★★☆
読み返し度
★★★★★
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:インスリンを「自分で」使うとき
読者の感想
(2020年2月 記)
自分は初期研修医で一番最初にローテートしたのが糖尿病内科であり、比較的穏やかに医者デビュー出来ました。ただ、わからないことだらけで糖尿病に関してはあまり勉強ができませんでした。インスリンを自分で調節するなど出来るわけもありませんでした。以後、これはヤバいと考えとにかく独学の道に走り、本書に巡り合いました。
本書は糖尿病の病態や経口血糖降下薬に関する記載は一切なく、手っ取り早くインスリンの使い方に入ります。「責任インスリンに考え方は理解したけど、で、どうするの?」と悩む方は多いと思いますが、本書は使い方の説明がとても具体的で、導入にあたり実際の単位数を示してくれていたり、スライディングスケール、離脱方法、点滴への混合注射、ope前後などいろいろな状況に対応できます。
いつも糖尿病内科に任せっきりで自分でも勉強したい方にお勧めです。非専門医ほど恩恵が大きいでしょう。ポケットサイズなのがまたいいですね。
⑨呼吸器内科1冊
書籍名
レジデントのためのやさしイイ呼吸器教室
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★★★
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:初期研修医から必ず役に立つ
なぜ:わかりやすく、呼吸器の考え方が理解しやすい
読者の感想
(2020年2月 記)
これは名著でしょう。自分は1年目の7月に読み、本当に面白いと思いました。第2版を読みましたが、第3版が出ているようですね。
最初は必要なところだけ拾い読みしようと考えていましたが、気づけば2週間くらいで読破しました。上級医からは「それ読破したなら入局しないとね(笑)」と言われました。
総論的な知識、胸部レントゲンの見方、酸素療法、人工呼吸器の初歩の考え方、喘息・COPDの基礎、肺炎治療、結核の考え方など、今後の医者人生において財産になる知識ばかりです。この本を呼吸器内科の入り口・土台として、専門性を高めたければ各呼吸器疾患の勉強をすればいいと思います。
自分は呼吸器内科研修中は本書を繰り返し読み、その他は感染症・抗菌薬の勉強も同時にしました。1年目で読めたことは幸運でした。
5000円くらいとやや高いですが、その価値はあります。
書籍名
レジデントのための血液透析患者マネジメント
レビューした人
医師4年目、脳卒中内科医
総合評価
★★★★★★★★☆☆
読み返し度
★★★★☆
参考書のレベル
入門編
使用した場面、役立ったエピソード
いつ:血液透析患者を受け持った時
読者の感想
(2020年2月 記)
初期研修医の終盤に読みました。自分は腎臓内科・透析のない病院で研修したため、これはまずいと思い独学目的で購入しました。まえがきにも「自分で血液透析ができなくとも、血液透析患者を診る力、マネジメントする力は必要」とあり、自分のニーズともぴったりでした。
①マネジメントに必要な血液透析の基礎知識
②保存期→透析導入患者のマネジメント
③維持透析患者のマネジメント
④急速に腎機能が悪化する患者のマネジメント
⑤アフェレーシス
と5つの章立てになっており、⑤は読んでませんが、非専門医でも知っておいたほうがいい基本的なことがギュッと詰まってます。
実際の透析は専門科にお任せ、と割り切って本書で勉強するのが効率的かもしれません。保存期のマネジメントとAKIについてや、実際の処方例が記載されているのが個人的には非常に良かったです。