はじめに
「私は4年生の時にアメリカで学会発表してきました」
この文だけ読むと、「すごい!」と思ってくださる方もいるかもしれません。
「自慢かよ…」と嫌になる方もいるでしょう。
上の文は事実です。
でも、私にとっては苦い記憶です。
この記事では海外での学会発表に関する私の失敗談とそこから学んだ教訓を書かせてもらいます。
研究に参加し、これから学会発表もしたいと考えている方が、ちょっとでも参考にしてくれたら嬉しいです(反面教師としてですが…)
学会発表までの経緯
私がアメリカで学会発表したのは、4年生の夏でした。
私は2年生の頃からある基礎系の研究室でお世話になっており、研究の真似事をしていました。
曲がりなりにも2年間研究し、データもある程度たまってきました。
そんな時、教授から「今度の学会で大学院生に混じって発表してみたらどうか」と声をかけてもらえたのです。
当然、私が出せた研究成果は小さなもので、本来なら発表に値する内容とは言えないものでしたが、「経験だと思って」という教授の厚意に甘えて「アメリカでの学会発表」にチャレンジできる環境をいただいたわけです。
そして、ここから私の失敗談がスタートします笑
読者の方には
「よくそんな状態で挑戦したな…」
と呆れられてしまう内容ばかりだと思います。
第一の失敗
「どうしようもない英語力」
「え?英語がある程度できるから発表しに行ったんじゃないの?」
と、当然思いますよね。
実は基本的な英会話すらもおぼつかない状態で行きました笑
一応言い訳をすると、英会話用のアプリで勉強など努力はしていました。
しかし、所詮付け焼刃。
大学入学時のTOEFLでも壊滅的なスコアだった私の英語力を求められる水準に上げるほどの練習はしていませんでした。
並行して大学の試験勉強やCBTの勉強もしてましたし、何より学会用のスライド作りや研究自体の進行が大変で、英語の勉強を頑張れたとはとても言えません。
ある程度スライドが完成した後は
「発表原稿の英語の文章だけは滑らかに読めるように練習」
という作戦に仕方なく変更しました。
発表前日の深夜3時に一人ブツブツとホテルのエレベーターホールで練習していましたよ…。(かなり追い込まれてました)
上の作戦で何とか無事に発表は終えましたが、察しが良い方なら気づいているでしょう。
質問には全く対応できませんでした。
ただでさえ緊張する学会発表な上に、乏しいリスニング力。
一つだけ質問をいただいたのですが、頭は真っ白。
何を聞かれて何を答えたのか記憶にないです。
私の第一の失敗は
「学会発表するにはあまりにも英語力が不足していた」
に他なりません。
第二の失敗
「研究の真似事をしていた」
あるテーマを研究するなら、まずそのテーマの背景や現在の定説を知らなければなりません。
それらは教科書で書かれているような知識です。
その上で、未だ解決してない点、議論がなされている点を見つけます。
そのためにも論文を読むわけですね。
上の過程を踏まえた上で、未解決、議論中の問題に対して仮説を立て、それを検証するために実験を組み立てて初めて「研究」が始まります。
その過程をすっ飛ばしてデータ収集に走り、「研究の真似事」をしてしまったことが失敗でした。
自分の研究なのに理解が浅すぎたのです。
当然、学会発表用のスライドを作ろうにも的外れなものになってしまいます。
背景知識が空っぽで仮説がフワフワなのだから当然です。
おかげで学会発表をすることになってはじめて
「この研究で示したい仮説は何か?」
を改めて考え始める始末です。
そもそも研究デザインの段階でやっておくべきことだったのに…。
私の第二の失敗は
「自身の研究デザインがないまま研究の真似事をしていた」
ことです。
身に刻んだ教訓①
英語の勉強習慣は医学生に必須
「日本で医者するし英語はいいや」
と、僕も思ってましたが、考えが変わりました。
医学が日々更新されていく中、やはり英語の文献にあたらねば最新のエビデンスは得られません。
実習で臨床の現場を見るうちに、医師としての知識のアップデートのためにも英語論文にアクセスできる態勢が必要だと痛感しました。
また、海外での学会発表のチャンスが来た時などに最低限戦える英語力がないと勿体ないです。
日常会話のペースについていけるような英語力は無理でも、学会などのディスカッションの場では使えるような英語力は必要だと感じました。
身に刻んだ教訓②
論文の読み方から学ぶべき
きちんと研究に関わりたいなら、やはり論文を読みこなせるようにしなければいけないと気づきました。
そして論文を読むみこなすには英語力も大事ですが、「論文の読み方の作法」をまずきちんと学ぶべきだと感じました。
今、COVID-19の影響で実習がなく時間に余裕もありますので、国試の勉強の傍ら下のような本を読んでみようと考えています。
次郎作先生がレビューされている一冊なのですが、英語論文への向き合い方が書かれているようです。
気になる方は次郎作先生のレビューもご覧になってください。
まとめ
私の苦い失敗談はいかがでしたでしょうか?
おそらく私ほどやらかす人は少ないと思いますが、反面教師の一例として参考になってくれたら嬉しいです。
苦い記憶ではありますが学べたことも多く、色んな意味で私の考えの転換点となった経験でした。
ただ実は、学会発表を終えた後もCBTの勉強だとかを言い訳に英語の勉強をサボっていました。(あと英語が若干トラウマでした笑)
が、幸か不幸か時間ができて、学生最後の一年だし国試の勉強だけでなく英語の勉強もしてみようと思えました。
この記事を読んでくださった人の中で、もし時間を持て余している方がいらっしゃいましたら、英語の勉強や論文の読み方の勉強などはいかがでしょうか?