医学論文 総説要約

「喘息発作のマネージメント」JAMA総説より

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はじめに

今日は救外でもよく見る喘息発作についてJAMAの「Management of Acute Asthma in Adults in 2020」を読んでいきます!

原文はこちら

重要項目まとめ

実臨床を意識して下記の点を押さえておきましょう!

・重症度分類に応じた治療をできるようになろう

・発作時にはICSを4倍に増量

・重症患者には以下をしっかり行う
 ①酸素投与で93-95%に管理
 ②SABA吸入
 ③SAMA吸入
 ④全身コルチコステロイド

喘息発作の重症度分類

喘息発作では、喘息患者が急性もしくは亜急性に肺機能が低下し、呼吸困難、咳嗽、胸の締め付け感、喘鳴などがみられます

喘息にも他疾患と同じく重症度によって分類されます

本ReviewではPEFR(最大呼気速度率)を計測して、Mild/Moderate/Severe/Life threatening/Near fatalに分類していました

日本では発作時に逐一計測しているところはあまりないかもしれませんが、分類によって患者さんの扱いや治療が異なり、そちらはしっかり押さえておきたいですね

詳しくは後述の救外でのマネジメントをご覧ください

より詳しく知りたい方は、GINA(Global Initiative for Asthma)の2019年国際ガイドラインを見てみると良いでしょう

ICSの役割

ICSとはInhaled Corticosteroidの略で吸入ステロイド薬のことですね

慢性期でも使うお薬ですが、発作時には慢性期の使用量の4倍を使うことで、発作が改善し全身ステロイドの量が軽減できると考えられています

つまり喘息の患者さんが悪化して受診した場合、その人の通常量が80μg/日であれば4倍の320μg/日まで増量するということですね

この根拠となったのは2018年の1922例の喘息発作を起こした患者を対象としたRCTです

通常量の4倍のICSを最大14日間にわたって投与する群と増やさない群に分けてアウトカムの比較がされました

増量した群では、発作が軽減し、全身ステロイドの必要量も減ったという結果が得られました

有害事象としても肺炎は増やしませんでしたが、口腔内カンジダは増量した群で増えたということでした

これを踏まえると、うがいの指導など、副作用についてしっかり説明した上で、ICSの4倍量投与するのが良いでしょう

マクロライド系抗菌薬の役割

続いてアジスロマイシンなどマクロライド系抗菌薬の役割です

結論からいうと発作の治療としてベネフィットはありません

しかし発作予防に効果があるかもしれないと期待できる文献もあります

治療に関しては喘息発作の治療にアジスロマイシンvsプラセボを加える二重盲検のRCTがありますが、アウトカムを改善しなかったという文献がもとになっています

しかし、別の文献で喘息患者の通常治療に加えてアジスロマイシン500mgの週3回投与を48週間継続したところ、その期間中に発作回数が減ったという研究があります
(AZM 1.07回 vs  Placebo 1.86回)。

通常アジスロマイシン(などの抗菌薬)は細菌感染を伴う喘息発作患者に使用を考慮されるものですが、上記Studyから何らかのベネフィットがあるのかもしれませんが

もちろん耐性菌など有害事象もあると思いますので、今後のエビデンス蓄積を待ちます

救外マネジメント

マネジメント概要は以下の通りで、重症度ごとに分けて記載されています

※ステロイド投与方法
プレドニゾロン1mg/kg/day(Max: 50mg/day)もしくは等力価を5-7日間。IVより内服の方が良い
※硫酸Mg投与方法
2gを15-30分かけて投与

この中でSevere以上の患者は救外で速やかな対応が必要となってきます

なお、救急外来などでPEFRを測定出来ない場合には、下記を参考にしてみてください

※JGL 2015より

また、気管支喘息の病態、診断や具体的な薬剤の投与量などが分かりやすくまとまっているこちらの記事もご参照ください

気管支喘息について~発作と安定期治療について~


ガイドラインに則ったマネジメントとしては大きく4つあります。
①酸素投与で93-95%に管理
②SABA投与
 ―短時間作用型吸入β2刺激薬

③SAMA投与
 ―短時間作用型吸入抗コリン薬
④全身コルチコステロイド投与

SABA・SAMAについてですが、コクランレビューではSABA単体の投与については、投与方法に関わらず入院率は変わりませんでした

しかし、SABA+SAMAではSABA単体投与よりも入院率が低くなりました

これからSABAとSAMAの併用が発作時には必要とされています。



なお、肺病変(肺炎や気胸など)を疑う場合は胸部画像をとってきちんと評価することは忘れないようにしましょう

加えて、硫酸Mgについても記載があったので書いておきます

これ、時々使っている先生がいますよね

実際エビデンスはというと、喘息発作に対する硫酸Mgの投与について、最大規模のRCTによれば入院を減らさないという結果になっています

しかし、そのRCTを含むコクランのメタアナリシスでは硫酸MgのIVは入院を減らすという結果でした
(吸入についてはベネフィットはなさそうという結果になっています)

Controversialな部分があり、ルーチンでの投与は必要ありませんが、使用を検討しても良いかもしれせん

今後の治療薬について

抗原に対して特異的に作用する生物学的製剤Benralizumabが期待されているとのことでした

今のところ119例のRCTでは喘息の悪化や入院を減少させたという結果が得られており、更なるエビデンスの蓄積が期待されます

最後に

今回は喘息発作についてJAMAのReview Articleを参考にしてまとめてみました!

なお、本記事とは別に、若手の先生で喘息について日本の書籍で勉強にしたい方には以下の本がお勧めです!

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本記事の喘息だけでなく、感染症・癌・間質性肺炎など幅広い知識が得られると思います!

参考文献

Mohammed F. Z. et al. Management of Acute Asthma in Adults in 2020. JAMA 2020;323(6):563-4

2019GINAガイドライン
https://ginasthma.org/wp-content/uploads/2020/04/GINA-2020-full-report_-final-_wms.pdf

Tricia M. et al. Quadrupling Inhaled Glucocorticoid Dose to Abort Asthma Exacerbations. NEJM 2018;378(10):902-910.
ICS4倍量の元文献です

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