初期研修医の時に購入・通読し、最近一通り読み直しましたのでレビューしようと思います。
本書の内容はNa・K・Ca・P・Mgの異常、酸塩基平衡(血ガスの解釈を含む)、輸液療法の基本、を学ぶ構成になっています。見開きA4サイズで全170ページです。
特徴・筆者の狙いとしては、初学者向けに小難しい腎生理をできるだけ避け、フローチャートで電解質異常や酸塩基平衡異常を鑑別するための解説を(必要に応じて生理学に立ち返りながら)行っています。
なので、初学者であってもクリアカットにまとまって理解でき、勉強したことを臨床へ反映させる即効性・実用性も期待できるものと思います。
急ぎではない電解質異常であっても、臨床現場では鑑別のために検査オーダーだけは早く出しておかなければならないこともあるため、とりあえずパッとフローチャートを確認して検査を出しておいて、後で解説部分を読み込むといった使い方もいいかもしれません(クイック・レファレンスというまとめの項があるため便利です)。
理論多めの本と比較して本書はそういった面で優れている、使いやすいと思います。もちろん緊急の低Na血症や高K血症への対応も具体的な薬剤投与量・方法を含めて解説がありますよ。
欠点としては、表紙が蛍光黄緑で目が若干チカチカするし、病棟に持っていくと目立つことでしょうか(パソコン画面で見た時より蛍光強めです)。
全くの初学者(医者なりたての方)にもおススメですが、自分は復習として読み直したので、レビューするにあたり全くの初学者の気持ちにはなれていないかもしれません。
それを差し引いてもおススメには間違いありません。「レジデントのための血液透析患者マネジメント(医学書院)」と同一の筆者のようです。