特集記事

【後期+初期研修医向け】論文レビュー.comが始動しました

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みなさんこんにちわ、サイト運営の川良です

今日はタイトルの通り、


「論文レビュー.com」が始動したことをお知らせ致します!



「論文レビュー.com」





思えば、3月に医学書レビュー.comを公開してから、本分である医学書レビューを集めながらも様々な企画を始動させてきました!

・先生別レビューまとめ
・医学生レビュー
・医学生ブログコミュニティ「へびの杖」

などなど…

それぞれが継続的に質の高いコンテンツを発信できるように、今後も張り切って運営を行って参ります!

 

 

さて、本日お知らせする「論文レビュー.com」ですが、

・論文での情報収集比率が高まってくる後期研修医の先生たち

・初期研修医でも「デキる」先生たち

に向けて、

“明日の診療に示唆を与える論文”

日本語要約してすっきりまとめて発信していくコーナーになります!


実際にどれくらいすっきりかというと、これくらいです

タイトル

“Remdesivir in adults with severe COVID-19: a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial.” Wang, Yeming, et al.The Lancet (2020).

原文はこちら

論文を一言でまとめると

中国の武漢の10施設で行われたランダム化比較試験の結果、重症のCOVID-19患者に対してレムデシビルを10日間投与しても、臨床所見の改善までの時間の短縮は見られなかった。

症状出現早期に治療開始した場合は効果があるかもしれない。

Methods

[場所/施設]

中国の武漢にある10個の病院

[Patients]

RT-PCRでSARS-CoV-2の感染が診断され、肺炎の画像所見があり、SpO2 94%(room air)かP/F ratio 300mmHg以下で、発症から12日の18歳以上の大人

[Intervention]

レムデシビルの静注 10日間

[Comparison]

プラセボの静注 10日間

[Outcome]

臨床所見の改善までの時間

(6段階評価で2段階の改善が見られたor生きて退院した、のいずれか早い方までの時間)

[デザイン]

多施設のランダム化比較試験(a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre trial)

結果まとめ

・2020/2/6-3/12の期間に237人がランダム化の対象となり、介入群158人とプラセボ群79人と2:1にわりふられた。

・研究対象者の年齢の中央値は65歳(四分位範囲 56-71歳)、発症から治療介入までの日数は中央値で10日(四分位範囲 9-12日)だった。

・臨床所見の改善までの日数は、レムデシビル投与群(中央値 21.0日 [四分位範囲 13.0-28.0日])とプラセボ群(中央値 23.0日 [四分位範囲 15.0-28.0日])で、有意な違いは見られなかった(Hazard Ratio 1.23 [95% CI 0.87-1.75])。

・発症から10日以内に治療が始まった症例に限って解析すると、こちらも統計学的な有意差は出なかったが、レムデシビル投与群の方が(中央値 18.0日 [四分位範囲 12.0-28.0])、プラセボ群に比べて(中央値 23.0日 [四分位範囲 15.0-28.0])と、臨床所見の改善までの時間が短い印象であった。

・重大な副作用は、レムデシビル投与群で28例(18%)、プラセボ群で20例(26%)であり、副作用のために薬剤の使用を中断したのは、レムデシビル投与群で18例(12%)、プラセボ群で4例(5%)だった。

・この研究から筆者らは、統計学的な差は出なかったがいくつかの測定項目ではレムデシビルは効果がある可能性があり、追試験をしたり他の治療と組み合わせた時の効果を検証したりしていくべきだ、と述べた。

[Limitation]

・武漢でのCOVID-19の流行が収束してしまい、計算した目標のサンプルサイズまで症例を集めることができなかった。それにより検出率が80%から56%に落ちている。

記事の中に挿入すると、少し長く感じるかもしれませんが笑

実際に記事として読むと5分前後で読めるのではないでしょうか!



そんな短時間にも関わらず、↑の例で言えば


「レムデシビルって実際どうなの?」


という、考えても分からない疑問に一定の解を与えてくれるので、とてもお得な内容になっています!



また、上記のような個別の原著論文(Original Article)もさることながら、

「論文レビュー.com」では、いわゆる総説記事(NEJMでいうReview Article)の紹介も行っていきます!

総説記事では、Original Articleが既に十分吟味された状態でまとめられているため、1つ1つの論文の良し悪しを判断する必要がなく、比較的臨床応用がしやすいと考えられます!

まさに“明日の診療に示唆を与える”内容といえるでしょう

もしもご興味があるかたはこちらも見てみてください

・「CD感染症・下痢のマネージメント」JAMA総説より

・「喘息発作のマネージメント」JAMA総説より

・「熱中症のマネージメント」NEJM総説より





さて、ここまで読んでくださった方は本当にありがとうございます

今後はこちら、論文レビュー.comについても、広く先生方からの寄稿が集まってくればいいなぁと考えています



たとえば、後期研修医の先生や初期研修医でも熱心な先生たちで、


「普段から論文読んで個人的にまとめたりしてるよ!」


なんて先生がいらっしゃいましたら、ご連絡をくだされば大変嬉しいです



これからも後輩たちが勉強する環境が少しでも良くなるように、サイトを育てていきたいと思います

どうぞよろしくお願い致します

川良健二

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