みなさんこんにちは、サイト運営の川良です。
以前からコツコツと続けている「先生別!しっかりレビューまとめ」のコーナーですが、この度新しくご協力いただいた先生の記事を追加したので公開させていただきます!
今回、医学書レビュー.comにご協力いただいた「内科医キューピー先生」ですが、もはやこの方を語るのに、多くの言葉は要りません!
これだけで十分なインパクトがありますが、キューピー先生は医学部時代はもちろん、医師として働き始めてからも勉強を続け、おすすめの医学書紹介や医学知識をサイト上で公開し続けています。
特に医学知識については、救急外来での初療やジェネラリスト的な知識を中心に扱っておられる印象だったので、初期研修医の方々にとって興味を惹かれる内容も多いのではないでしょうか?!
さて、今回の記事では、キューピー先生のブログから各参考書レビューの重要ポイントのみ抜粋させていただき、さらに医学書レビュー.comに寄せられたレビューも下部に併記しました!
診療科・分野別のおすすめ本を紹介する前に、とにかく「何も考えず買っておくべき本」というのが紹介されている点が、初期研修医目線で素晴らしいですね!
「とにかくあれこれ考えるよりも、これを読むべし!」
というのは、選ぶ側にとってとても助かります!
それではキューピー先生のレビューをご覧ください!!
なお、より詳細なレビューについてはこちらのリンクからどうぞ!
→内科医キューピーのつぶやき 研修医におすすめの教科書・参考書【2021年最新版】
目次
【何も考えず買っておくべき本】
【領域別1st choiceの本】
- 抗菌薬、感染症の1st choice
- エコーの1st choice
- CT読影の1st choice
- 心電図の1st choice
- 輸液の1st choice
- 救急外傷の1st choice
- 小児科救急の1st choice
- 基本手技の1st choice
- 辞書系教科書の1st choice
何も考えずに買っておくべき本
内科レジデントの鉄則 第3版
キューピー先生のレビュー
●何も考えず購入しても絶対後悔しない1冊!
●内科系はもちろん外科系でも必須
●改訂されて間もない
●この1冊を極めるだけで“デキレジ”に!
これは絶対です。何も考えずに購入しても、絶対後悔しません。内科系はもちろん外科系でも必須です。
ちなみに改訂されて間もないので、なおさら買わない理由がありません。
「先生、〇〇さんのSpO2が80%まで下がってしまいました!」
「先生、□□さんが痙攣してます!どうしますか?」
「さっき血圧測ったら70/45でした、指示ください!」
ということは病棟ではよくあります。
病院の体制にもよりますが、当たり前のように1年目研修医にもコールがきます。そんな時に頼りになる1冊です。
極論を言うとこれ1冊さえあれば、病棟管理の本は他に買う必要はないと言ってもいいです。この1冊を極めるだけで”デキレジ”認定は間違いないでしょう。1冊極めるっていうのがとても難しいのは皆さんもよくご存じと思います・・・。
絶対に持っておきましょう。必須本です。
当サイトでのレビュー一覧
救急外来 ただいま診断中!
キューピー先生のレビュー
●個人的に研修医中に読んだ中で一番良かった本
●考え方を丁寧に示してくれる
●とても読みやすい!
●研修開始前に1冊でも予習しておくならコレ!
これも絶対に買ってください。個人的には研修医中に読んだ本の中で一番良かった本です。
“内科レジデントの鉄則”は、病棟コールやメジャーな疾患の入院管理は網羅されていますが、ERに患者さんが運び込まれてきた時の初期対応や考え方は網羅されていません。
また、多くの救急外来向けの本は断片的な書き方が多く、非常に分かりにくいです。※ある程度経験を積まないと中身が理解できないようになっています・・・。
しかし、この本は考え方を丁寧に示してくれますし、何よりとても読みやすいです。もし研修医になる前に何か1冊でも予習しておきたいなら、この本をオススメします。
救急外来での対応のみならず、医師としての診療の実力が確実に上がります。僕自身もこれを読んでからERでの対応の質が格段に上昇したと思います。
そして著者の坂本壮先生のファンとなり、彼の著書を他にも購入しました。それについては機会があればまたご紹介します。
当サイトでのレビュー一覧
あなたも名医!もう困らない救急・当直ver.3
キューピー先生のレビュー
●救急の名医、林寛之先生監修の本
●外科系当直の領域をカバー!
●マイナーエマージェンシーの初期対応も!
いわずと知れた救急の名医、林寛之先生監修の本です。
先ほどの”救急外来ただいま診断中!”だけでは補えない外科系当直の領域をカバーしています。※救急外来ただいま診断中!は頭部外傷以外は内科救急について書かれています。
例えば、指を切った時の縫合の手順や四肢の外傷の初期対応だったり・・・。あとはマイナーエマージェンシーの初期対応、例えば鼻血などです。
こういった痒いところに手が届くといった意味で、購入は必須だと思います。
『救急外来 ただいま診断中!』と合わせれば、1人で当直を任されても自信をもって対応できると思います。
当サイトでのレビュー一覧
内科レジデントマニュアル
キューピー先生のレビュー
●『内科レジデントの鉄則』よりも具体的かつ実践的
●ポケットサイズなので病棟で使える
●処方の具体例なども豊富に記載
一見すると『内科レジデントの鉄則』のコンパクト版とも思われる本ですが、実は微妙に内容が違っています。こちらの方が実は項目が多く、具体的でより実践的です。
“鉄則”は考え方などについて、文章がしっかり書いてありますが、一方でこちらの本は簡易的に要点がまとまっている感じです。
『内科レジデントの鉄則』は家での座学用で、病棟では『内科レジデントマニュアル』を片手に対応を行うとよいと思います。
ポケットサイズであり、処方の具体例なども豊富に記載されています。処方の用量まで記載されているので、このまま処方ができるようになります。
『内科レジデントの鉄則』と同様に、こちらも改訂されたばかりなので、セットで買っておくことを強くお勧めします。
当サイトでのレビュー一覧
当サイトではまだ『内科レジデントマニュアル』のレビューがありません。皆様のレビューをお待ちしております。
京都ERポケットブック
キューピー先生のレビュー
●“主訴ごとの動き方”を記載
●とにかくERですぐ動けるようになるための本
『救急外来 ただいま診断中!』や『あなたも名医!もう困らない救急・当直ver.3』といった救急外来向けの本を紹介してきました。
しかし、いずれも予習していないと救急外来ですぐに確認するには内容が多すぎます。救急外来はスピードが重要で、主訴を聞いてすぐに動けることが重要です。
そういった面でおすすめしたいのが、この1冊になります。
これは当直経験の少ない初期研修医の目線に立って、
「主訴は分かったけど、結局何をすればいいの?」
「どんな疾患を考えなければならないの?」
ということが的確かつ簡潔に記載されています。
“主訴ごとの動き方“が記載されていることに現場目線を感じます。特にデキレジの先生が愛用している印象のある本です。
とにかくERで動けるようになるために、買っておくべき1冊でしょう。
当サイトでのレビュー一覧
領域別1st choiceの本
抗菌薬、感染症の1st choice
感染症プラチナマニュアル2020
●実際の処方量だけでなく処方日数まで記載
●各感染症への考え方の要点がまとまっている
コロナ診療で一躍時の人となった岡 秀昭先生の本になります。僕は、この本に出会うまでの道のりが長くて・・・(笑)研修医でマスターすべきことは抗菌薬と輸液!と言われますが、この本に出会うまでは抗菌薬の考え方がめちゃくちゃでした。
この本は多くの場合、実際の処方量だけでなく、処方日数まで記載があります。また、各種感染症に対する考え方の要点を非常に簡潔に、深くまとめています。何かの感染症に出会ったら、この本を参考に処方をしてください。
診療が終わったら、その感染症の要点を読んで勉強しましょう。これを繰り返すことでかなり力がつくと思います。
ポケットサイズですので、机で勉強したい方は下記の大判もオススメです。
以下1st choiceではないものの、よく比較される他の教科書についても説明していきます。
絶対わかる抗菌薬はじめの一歩
確かに抗菌薬についての原理や作用機序などはしっかり書いてありますが、全く実践的ではないです。恐らく医学生向けの本なのだと思います。
時々研修医向けのサイトでこの本がオススメされていますが、言い方が悪いですが、そのサイトの管理者は恐らくこの本を読んでいないと思います。
自分も被害者で、この本を読破しましたが、実臨床では全く役に立ちませんでした。
誤解しないでほしいのですが、内容は悪くないです。ですが、医学生向けです。
サンフォード感染症治療ガイド2020
こちらは世界標準の本で、実践的です。実際にこの本を参考にすれば世界標準の抗菌薬処方ができるようになります。
教授にツッコまれても、”サンフォードに書いてありました!“といえば、それ以上反論されないそうです(笑)
プラチナマニュアルが気に入らなければこちらでもいいかもしれないです。
ですが、各種感染症解説についてはプラチナマニュアルの方がよいと思います。僕も最後まで迷いましたが、プラチナマニュアルを1番にオススメさせて頂きます。
当サイトの“抗菌薬・感染症”カテゴリのレビュー一覧
エコーの1st choice
あてて見るだけ!劇的!救急エコー塾
●分かりやすく様々な場面でのエコーを解説
●難しい理論はなしに必要なことを凝縮
エコーは、研修医のうちにある程度はできるようになっておきたい手技の1つです。特に救急外来では、FASTや心臓、腎臓、胆道などエコーが非常に有用です。
しかし、敷居は比較的高く、教科書も専門的で難しいものが多いのが現状です。そんな中、実に分かりやすく様々な場面でのエコーを解説しているのが上記の本です。
これを読めば明日にでも患者さんにエコーを当てたくなります。難しい理論は全部取っ払って、必要なことを凝縮して書いてある印象です。心エコーをここまで単純に書いてある本はこの本だけだと思います。
エコー画面ってどっちが左?どっちが上?というレベルから丁寧に解説がされており、内容が非常に分かりやすいです。
初期研修医なら必ず持っておくべき1冊です。
当サイトの“エコー”カテゴリのレビュー一覧
https://igakusho-review.com/archives/category/echo
CT読影の1st choice
CT読影レポート、この画像どう書く?
●放射線科の先生も強くオススメした良書
●必要最低限の解剖学的知識とよく出会う疾患の所見を研修医向けに解説
●頭部・胸部・腹部骨盤部CTを網羅
比較的最近出たばかりの本ですが、これはかなりの良著です。放射線科の先生が強くオススメしたいと仰っていました。
CT読影能力は研修医に必要なの?と思う方もいるかもしれませんが、必須です。当直ではしばしばCTを撮影する機会があり、自分で読影しなくてはなりません。上級医に頼ることもできますが、状況によっては自分で読影しなくてはなりません。
また、研修医が終われば自分自身が上級医として読影する番になります。
虫垂炎の所見があったのに、腸炎の診断で帰宅させてしまった・・・。
early CT signを見抜けなかった・・・。
CT読影による当直帯でのトラブルはしばしば経験します。
この本には、必要最低限の解剖学的知識と、よく出会う疾患の所見を研修医に解説する視点で書いてあります。
頭部・胸部・腹部骨盤CTについて網羅されており、これ1冊で研修医が身につけるべきCT読影能力が十分身につくと思われます。
僕自身も非常に内容が良かったため、すぐに読破してしまいました。
当サイトの“画像診断”カテゴリのレビュー一覧
心電図の1st choice
3秒で心電図を読む本
●心臓血管研究所所長の山下先生が自身で心電図を読む際の読み方を解説
●書名が胡散臭いが内容は非常に論理的
え?3秒?本当にこんな本で大丈夫なの?と思われる方もいるかもしれません。
本書では、心臓血管研究所所長の山下先生が、自身で心電図を読む際の読み方を教えてくれます。山下先生は、この読み方で問題が生じたことは1度もないそうです。
僕自身も3秒とまではいきませんが、10秒ほどで読むことができるようになりました。
書名が胡散臭いですが、内容は非常に論理的で納得できます。
心電図ハンターシリーズ
●現場目線で初期研修医を読者層として想定
●とにかく実践的で虚血編だけでも必読
これはもっと早く出会いたかった1冊(2冊)です。
微妙なST変化の場合、ACSと判断するためにはどうすればいいのか。失神や動悸で心電図をとってみたけど、どう解釈すればいいのか。
現場目線にこだわり抜いて、どこから循環器内科へコンサルトするべきなのか、初期研修医をメインの読者層と想定して書いています。
とにかく実践的な本で、虚血編だけでも必読だと思います。
なおこれらの本は現場での動き方を重視していますが、”この不整脈はこんな波形”というような記載は、重要なもの以外はありません。
この波形はどう解釈すればいいのか?と迷ったときに役に立つのが“心電図の読み方パーフェクトマニュアル”です。
つまり”心電図の辞書“と思っていただければよいと思います。
必須ではないと思いますが、意識の高い研修医は全員持っている印象です。
当サイトの“循環器内科・心電図”のカテゴリのれびゅー一覧
輸液の1st choice
該当書なし
すみません。輸液の領域は自信を持ってオススメできる本に出会っていません。
輸液は非常に奥が深い反面、経験的なオーダーでもやり過ごせることが多いのです。
また心不全や腎不全の輸液は、基本的に初期対応以降は専門医コンサルトが必須です。
そういった特性上、
①詳しすぎて研修医が読むには難しすぎる、腎臓内科志望なら読むべき
②簡単すぎて読まなくてもよい、実臨床の経験で十分
のどちらかの特性を持つ教科書がどうしても多くなってしまいます。
そんな中で最近優秀な研修医の先生方がよく読んでいる本がこちらです。
レジデントのためのこれだけ輸液
僕自身はまだ目を通していませんが、デキレジの先生方的には良著だそうです。また読み終えたら、具体的な書評をしようかなと思います。確かにAmazonレビューを見ても、恐らく良い書籍だと思われます。
僕自身が目を通しました本で、強いてオススメするならこちらです。
シチュエーションで学ぶ輸液レッスン
こちらは聖路加国際病院の腎臓内科の小松先生が書かれた本です。分かりやすくかつ丁寧に輸液や電解質異常について書かれています。
個人的には輸液は、必須本の”内科レジデントの鉄則”の内容で十分かなとも思います。あとは臨床で学んでいくことが重要だと思います。
当サイトの“輸液”カテゴリのレビュー一覧
https://igakusho-review.com/archives/category/div
救急外傷の1st choice
教えて!救急整形外科疾患のミカタ
救急整形外傷レジデントマニュアル
●研修医が救急外来で整形外科疾患を診た時の具体的な動きを記載
●上は画像等が豊富、下はポケットサイズ
転んだ患者さんがきます!
交通事故にあった患者さんがきます!
救急外来では外傷は避けて通れません。その際の研修医の仕事は、いかに当直帯で対応して整形外科へつなぐか、です。
また、緊急性が高い骨折を見抜き、すぐに整形外科へコンサルトすることも必要です。
上記2冊は研修医が救急外来で整形外科疾患をみた時の動き方が具体的に書かれています。上が画像等も豊富、下がポケットサイズという特徴があるので好みで選ぶと良いです。両方買ってしまってもよいと思います。
シーネ固定や松葉杖の長さの決め方、RICEの解説もあり、非常に丁寧だと思います。内科系志望の研修医でも、1冊持っておくといざというときに安心だと思います。
また、もう一歩踏み込みたい方はこの書籍も非常にオススメです。
骨折ハンター
心電図でオススメした”心電図ハンター”と同じ作者の本です。前述の2冊より1ランクレベルの高い書籍だと思いますが、非常に勉強になります。整形外科や外科系志望の先生は持っておくべき1冊だと思います。
小児科救急の1st choice
初期研修医・総合診療医のための小児科ファーストタッチ
●総論(主訴別の動き方)を読むだけで小児科当直をほぼこなせそう
病院によっては小児科当直もあります。小児科当直では、成人診療の常識が通じない場面が多々あります。僕自身は小児科当直のない研修病院でしたが、小児診察の経験はあります。
そんな時に小児科当直をバリバリこなしていた元同級生にオススメしてもらいました。その元同級生によると9割くらいの研修医はこの教科書を使っているようです。
実際にこの教科書を使って診療にあたりましたが、確かに内容通りに診療がうまくいきます。特に最初の総論(主訴別の動き方)を読むだけで、小児科当直はほぼこなせそうです。
当サイトの”小児科”カテゴリのレビュー一覧
基本手技の1st choice
診察と手技がみえる②
やはり手技については経験に勝るものはありません。
しかし、間違った覚え方をしないためにも教科書は1冊持っておくと便利です。
それと、初期研修中は手技で悩んだりすることも多いので、精神安定上持っておくことをオススメします。僕もルート確保でスランプに陥ったとき、この本を読んでどこか改善できる点はないか、よく探していました(笑)
病気がみえるユーザーなら構成などに慣れているでしょうし、使いやすい1冊です。また、MEDIC MEDIAの信頼度の高さは、国試を終えた皆さんが一番知っていると思います。
辞書系教科書の1st choice
内科診療フローチャート 第2版
●学生ならイヤーノートが1stだが研修医はコレ!
●最新エビデンス等が引用論文とともに記載
●最近改訂されたばかり
学生ならイヤーノートが1stですが、研修医ならこれがいいと思います。
最新のエビデンスなども、引用論文とともに記載があります。症例発表の際に引用元として、論文名をすぐに書くこともできます(笑)(悪用してはダメですよ)
とりあえず何も考えずに買ってしまっていい1冊かなと思います。
最近改訂されたばかりなので、なおさら買わない理由がないでしょう。
以上になります。
少しでも初期研修医(前)の先生のお役に立てたなら嬉しいです。
1st choiceだけ買うとしても、そこそこの出費にはなると思います。ですが、自信を持ってオススメするので、是非購入してみてください。
それでは。