メジカルビュー社×医学書レビュー.comコラボ企画の2冊目は「ユキティのER画像TeachingFile」
救急外来で遭遇する疾患を中心とした画像診断のポイントを説明!
研修医だけでなく救急外来での画像診断に自信がなく不安な若手医師にオススメだそうです!
それでは書評をご覧ください
書名
ユキティのER画像TeachingFile
レビュワープロフィール
初期研修医1年目
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★★★ - よみやすさ
★★★★☆ - 使いやすさ
★★★★☆ - オリジナリティ・独創性
★★★★★ - 満足度
★★★★☆
どんな本?
「救急画像」に特化した画像診断の教科書です。「こんな画像所見を見たらヤバイ!」「こんな症状の患者がいたら次にどんな画像検査をオーダーすべきか」を手っ取り早く学べる一冊です。
おすすめの読者層
・初期研修で救急科を回る際の予習として/経験した症例の復習として
手っ取り早く救急画像に慣れるにはうってつけの本です。症例に沿って説明が進んでいくので、実際の受け持ち患者の症状や検査所見と画像を見比べながら学習を進められるかと思います。
・国試が終わって初期研修前暇な学生
いきなり臨床現場に出て画像を読むのは不安!という人にとっては、見逃してはいけない病変の読影テクニックを身に着ける手段として役立つかと思います。
良い点
・単なる画像の提示ではなく症例ベースで説明が進んでいくので、症状や既往歴、検査所見などと画像を見比べながら読み進めることできます。また、その症例がどんな転帰をたどったのか(帰宅、手術、死亡など)まで記されているため臨場感をもって読み進めることができます。
・画像の提示だけでなく、なぜそのような画像となるのか原理まで分かりやすく説明してあるので、画像の丸暗記ではなく理屈に基づいて覚えることができるかと思います。
・高エネルギー外傷による骨盤骨折や肺挫傷・血気胸など、他の参考書ではなかなかまとまって学ぶ機会のない画像に関しても詳しく掲載されており、さすが救急画像に特化しているだけあるなと感じました。一度でも画像を見たことがあれば、実際に外傷患者が搬送されてきても焦ることなく読影できるかと思います。
悪い点
略語の解説が各章の空きスペースに掲載されているため、わからない略語があるとその都度解説ページを探さなくてはならないのが少々面倒に感じられました。略語は章の最終ページや巻末などにまとめて掲載されている方が読みやすいかと思います。
レビュワープロフィール
医師18年目
専門:呼吸器内科、感染症科、アレルギー科
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★★☆ - よみやすさ
★★★★★ - 使いやすさ
★★★★★ - オリジナリティ・独創性
★★★★★ - 満足度
★★★★★
どんな本?
第Ⅰ章では画像診断を行うにあたり必須であるCTとMRIの基礎原理、第Ⅱ章では見逃すべきでない疾患を見つけるポイントが記載されています。第Ⅲ章では緊急性が重要な外傷とショックに関する画像診断のポイントが説明されています。
総じて主に救急外来で遭遇する疾患を中心とした画像診断のポイントを説明していくれています。
おすすめの読者層
初期研修医、後期研修医をはじめ、内科医、外科医、脳神経外科医、産婦人科医、泌尿器科医や救急疾患に携わる医師のニーズにフィットしていると思います。
良い点
・CT/MRIの読影を行うにあたり、必要最低限の基礎を図や画像も含めて掲載されており、とても分かりやすい
・読影のポイントのみの記載だけではなく、実際に症例を提示され、それに対する臨床所見や他科医の説明を交えている点が分かりやすい
・英語の略語の説明まで記載され、丁寧で理解しやすい
総じて、CT/MRIの基本を学びたい研修医をはじめとして、内科医、外科医、脳神経外科医、産婦人科医、泌尿器科医や救急疾患に携わる医師にも分かりやすい参考書だと思います。
悪い点
全体的にとても分かりやすい参考書ですが、強いて言えば(私が呼吸器科医ですので肺のCT読影部位で気になった部分を述べさせて頂きます)p135の「小葉間隔壁の肥厚をきたす疾患はたくさんある」の部分で、小葉間隔壁をきたす疾患名を羅列して頂けたら尚更分かりやすいかなぁ~と思いました。
レビュワープロフィール
踊る救急医先生
専門:救急科
Twitter:@houseloveryuki
Webサイト:https://lit.link/dancingdoctor
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★★★ - よみやすさ
★★★★★ - 使いやすさ
★★★★☆ - オリジナリティ・独創性
★★★☆☆ - 満足度
★★★★★
どんな本?
救急外来で判断が微妙な画像診断に迷う若手医師を、正しい診断と治療方針へ導いてくれる一冊。
救急外来で出会うコモンな疾患の画像検査において抑えるべきポイントが網羅されており、臨床所見と合わせて画像所見から論理的に判断する思考プロセスを身につけることができる。
おすすめの読者層
・救急外来での画像診断の知識を1から身につけたい初期研修医
・1人当直を始めたばかりで、救急外来での画像診断に自信のなく不安な若手医師
・研修医や専門外の医師がどのような思考回路で画像の読影に悩んでいるのかを把握し、明日からの指導に役立てたい各科の中堅医師
良い点
・CTやMRIの画像読影をする上で避けては通れない基本的な原理や解剖について初学者にもわかりやすい言葉でまとめられているので、画像検査に苦手意識がある方でも読み進めやすい。
・実際に救急外来で遭遇するような症例が数多く盛り込まれており、単に客観的で正確な読影所見を学べるだけではなく、病歴やバイタルサインと合わせて判断する臨床現場に即した能力を身につけることができるのが最大の魅力である。
・それぞれの疾患に特徴的な読影所見の単純暗記ではなく、たとえ稀な疾患であっても体系的かつ論理的に読影を進められるような普遍的なロジックを身につけることができる。
悪い点
各疾患の現病歴と画像の解説が近接しており、実際に画像の読影で悩みながら読み進めるわけではないため、意識しないと問題集の答えを読み合わせるような受動的な学びとなってしまいかねない。
ページ数が許容するのであれば、症例提示と画像解説を別ページで準備したほうがより能動的な学びにつながるのかもしれない。
レビュワープロフィール
次郎作(医師5年目)
専門:小児科
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★★☆ - よみやすさ
★★★★★ - 使いやすさ
★★★★☆ - オリジナリティ・独創性
★★★★☆ - 満足度
★★★★★
どんな本?
放射線読影専門医の筆者が総合病院内で行っている勉強会の資料をまとめた一冊。特に、救急外来や救急車対応で画像検査が必要となる「急性腹症」や「胸部CT」、「頭部のCT/MRI」の読み方など、初期研修医が知っておくべき知識が凝集されています。
おすすめの読者層
救急外来や救急車対応が必要だが、画像検査の読影に自信がない初期研修医など
良い点
・とても臨床経過を大事にしている先生のようで、症例提示も臨場感があってとても分かりやすいです。
・「泌尿器科Drに聞いた!」などと、他科の先生のコメントも入れてくれているのがさらに勉強になります。
・また、同じ疾患であっても多数の画像を紹介してくれるので、同じ疾患でも画像所見の軽症~重症があることを勉強できます。
悪い点
初期研修医向けの救急で遭遇する画像の参考書として、とても満足のいく本でした。
強いてあげると「これは臨床的にかなり稀だな」っていうものもチョコチョコ入っていたので、まっさらな状態の初期研修医は少し混乱してしまうかもなと思いました。疾患の頻度を具体的に示してもよいかもしれません。