メジカルビュー社×医学書レビュー.comコラボ企画の4冊目は「臨床研修 わたしたちのなんでも手帖 第3版」
国試合格直後のまさにピカピカの研修医にオススメの1冊だそうです!
それでは書評をご覧ください
書名
臨床研修 わたしたちのなんでも手帖 第3版
レビュワープロフィール
医師18年目
専門:呼吸器内科、感染症科、アレルギー科
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★★★ - よみやすさ
★★★★★ - 使いやすさ
★★★★★ - オリジナリティ・独創性
★★★★★ - 満足度
★★★★★
どんな本?
初期研修医の仕事の流れ、薬の基本的な知識、初期研修医に必要な手技の仕方とコツ、また救急外来・当直での対応や遭遇する主な症状/疾患について等々、イラストや表を交えながら記載されており、この1冊で研修医としてやすべきこと、理解すべきことがほとんど理解できる書籍だと思います。
おすすめの読者層
初期研修医に最も適していると思いますが、臨床研修を行っている医学生、また初期研修医を終えた後期研修医も初心に返れる、知識の再確認を行うことができる書籍だと思います。
良い点
・Chapter3[初期研修医に必要な手技のコツ]が、カラーで図示され、分かりやすい言葉で説明されているので臨床に即して理解しやすい
・Chapter1の前に記載されている「わたしたちがわからなかった臨床で使われる用語・略語」がとても参考になる(普段、上司が使用している略語についていけない研修医は沢山いると思うので)
・Chapter1[病棟の仕事]で、酸素投与とFiO2の関係が、救急の場面や急性/慢性呼吸不全で酸素療法が必要な場面に遭遇することが多いので、分かりやすくとても参考になると 思う
総じて、国家試験合格し初の臨床の現場に立つホヤホヤの初期研修医をはじめ、医師歴1~5年目くらいまでの研修医にもとても分かりやすい参考書だと思います。
悪い点
全体的にとても分かりやすい参考書ですが、強いて言えば、Charpter2[くすりのこと]で、商品名だけではなく、一般名の記載もされたほうがよろしいかと思います。(現在は後発品の使用頻度が多くなっており、一般名も知っておくべきだと思います)
また、p38人工呼吸器の設定で、なぜPEEPをFiO2と相関させて設定すべきなのか等の説明をもう少し記載されたほうが分かりやすいかな~と思いました。
レビュワープロフィール
初期研修医1年目
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★★☆ - よみやすさ
★★★★★ - 使いやすさ
★★★★☆ - オリジナリティ・独創性
★★★☆☆ - 満足度
★★★★☆
どんな本?
国試の勉強で疾患のことは一通り頭に入ったけれど実際研修医になって病棟に出るとオーダーの出し方や慣れない手技で右往左往する人が多いはずです。
この本をお守りとして白衣のポケットに入れておけば4月いきなり病棟に出ても焦ることなく業務がこなせる、そんな一冊です。
おすすめの読者層
・特に1年目の初期研修医や国試が終わってこれから初期研修が始まる予定のM6
指示簿に何を書けばいいのか、ルートや血培の取り方やコツ、食事や点滴は?など、病棟ではいちいち教えてもらえないことが一通りまとまっています。
・ポリクリ中の学生
ポリクリ中の手技見学では、今どんな操作を行っているのか、今使っている器具は何か、など十分な説明なしになんとなく見学させられている学生も多いはずです。手技のおおまかな流れをこの本で確認しておけば、見学時間も有意義に過ごせるしちょっとした介助もできると思います。
良い点
・各項目が見開き2ページ以内にまとめられているので、病棟で分からないことがあったときにぱっと辞書代わりに使えると思います。特に、巻末にメジャーな疾患の診断基準やスコアリング表が掲載されているのは便利です。
・術後の食上げ、創傷被覆材の使い分けなど、上級医は当たり前に行っているけれど研修医にとってはまだ慣れず、しかもなんとなく上の先生に聞きづらいことも簡潔にまとまっているのが研修医にとっては助かります。
・妊婦、授乳中に使える薬、小児に処方する頻度の高い薬がまとめられているのが便利だと思いました。
悪い点
病棟で分からないことがあったときのお助け本としては役立ちますが、通読して一から疾患を学ぶには向かない本だと感じました。また、手技の説明では、ページよってはイラストが少なくイメージしづらいと感じる箇所もありました。
レビュワープロフィール
医師5年目
専門:外科
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★★★ - よみやすさ
★★★★★ - 使いやすさ
★★★★★ - オリジナリティ・独創性
★★★☆☆ - 満足度
★★★★☆
どんな本?
初期研修医が各ローテーション先で指導医からの指示を遂行するにあたり聞きたくてもなかなか聞きづらいことが網羅的に記されている本。
おすすめの読者層
初期研修医および実習中の学生。
良い点
・ポケットサイズ、かつ軽量のためふとしたときに使用しやすい。一から学習するために読むというよりは実務をこなしながらふとした時に参照する使い方がbetterな一冊。
・初期研修にあたっては実務をこなすにあたり十分実用性がある印象。ただ広く浅くの印象が否めないため自分の専攻分野に対してはさらにふみこんだ学習を要する。さまざまなスコアや簡潔にまとまったガイドライン、診断基準などが巻末にまとまっており、専門研修の際も自身の専門分野外に関しては十分参考になりそうな一冊。
悪い点
・良くも悪くも初期研修に必要な知識がまとまった一冊である印象、自身の専門分野が決まったらその分野に関してはもう一歩二歩踏み込んだ学習は必要である。
・病棟業務に必要なイロハがせっかく広く浅くよくまとまっている一冊であるため、さらに欲を言えば皮膚科領域や整形領域といった専門分野外でもよく看護師から対応を求められる領域に関して触れられていてもよかったかもしれない。
レビュワープロフィール
次郎作(医師5年目)
専門:小児科
各項目評価(5点満点)
- お求めやすさ(価格)
★★★☆☆ - よみやすさ
★★★★☆ - 使いやすさ
★★★★★ - オリジナリティ・独創性
★★★★☆ - 満足度
★★★★☆
どんな本?
「うわ〜これ初期研修医1年目の最初の数ヶ月で参考にしておいたらよかったな〜」と、素直に思える一冊。
2020/10の最新の医学の情報の中から「初期研修医が知っておくべきこと」「初期研修医が調べたくなること」などを説明してくれています。
おすすめの読者層
・実践的な内容を勉強しながら病院実習を回りたい学生
・病院に出るのが不安で何か事前に読んでおきたい、国試後・就職直前
・医者にはなったけれど、右も左も分からない初期研修医1年目の最初の数ヶ月
良い点
・入院食の決め方(カロリー計算や、塩分制限食・腎不全食など、最初わからなかった!)
・酸素流量とFiO2の関係
・内服薬の表記の仕方(1錠×3、3錠 3×、3錠 分3、などの意味が分からなかった)
・投与ミスが起こりやすい薬剤(メトトレキサートなど実際に訴訟になったものも最初は知らなかった)
・ステロイドの知識、投与前の検査項目
・DIC診断基準、NIHSS(脳梗塞のスケール)、長谷川式、などサッと調べたい内容
総じて、初期研修の最初の数ヶ月でポケットに入れて「医師の常識」を身につけるには良い参考書だと思いました。
悪い点
Chapter4の当直の部分は、「頭痛」「めまい」など症候学に関しての記載がありますが、流石にこの部分は情報量が少なすぎるので、別の鑑別疾患系の参考書を読んだ方が良いなと思いました。